この日も僕は激……
もうよかろう我ながら。例外的に僕がブスと食事をすることは、まずないのだから。






いや、しかし、それにつけても激美人。
眩いばかりの群を抜いた激美人。やはり言わずにはいられない。




ここはもう僕の庭(この物言いも、傍目からは痛いのだろう)、ストリングスにて何度目かのアフタヌーンティーを。


何気にこちら、誰かを誘ったのは初めてだ。
だって恥ずかしいもの。この空間に相応しくない女なんて。



おっと、ついつい。女は飾りという、バブルの産物どころか今の時世何かと叩かれそうな価値観は、胸にそっとしまっておこう。





しかしまぁ揚げたてホックホクポテトフライが美味しいこと。







トラベルアフタヌーンティー。
世界旅行のできない今、せめてもの海外旅行気分をという企画だ。
歓声をあげたくなるような美しさ。
あ、無論彼女も。(ほんの少しだけ映り込みごめんなさい)





各国の名産やイメージに合わせたスイーツ、セイボリー、ラインナップは以下の通り。











手前がアメリカのロコモコなのはわかった。

しかし、インドとフランスどっちがどっちだ?

おそらく赤いのがパプリカで、それがフランスなのだろうが、ではブリオッシュトーストはどちらへ?





…ま、いっか。とりあえずとっても美味しかった。夏の食べ物だね。




スコーンは、以前1人訪れた際は、ザクザク感の無さ、小ぶりで硬めでむぎゅっとしているあたりが少し不満だった。

なのにこの日は美味しい。不思議だ。









イタリアと日本。

スーツケースのティラミスが可愛すぎる。

そして、彼女の品の良さと明るさと優しさを全身に感じながら。











カップケーキのアメリカ、ココナツマンゴーの中国、貴婦人の帽子みたいのはフランスかな。











しょっぱい系のこちらからいただいた。

こういうアフタヌーンティーって、写真ばかりバシャバシャ撮り、持て余すようにちびちび食べる女性が多い。だが彼女は、小気味良いほど良いペースで食べ、セイボリーを食べ終えたタイミングで、店員にそっと声をかけた。






「こちら、引いていただけますか」




引いていただけますかだって…。
意識してもなかなか出てくるもんじゃないぞ。
巷のブス庶民は、せいぜい頑張っても「下げてもらえますか?」だぞ。






そんなことを僕が思い感動しているとは知らずに、楽しそうに美味しそうに頬張る彼女。あぁ。











貴婦人の帽子はシュークリームのよう。
あとでお菓子の名前もちゃんも調べてみようかな。せっかく美味しいものを食べるのだ、ちゃんと知っておきたい。









なかなかにボリューミーなナイトアフタヌーンティー(ナイトだけ価格が上がる分1人一皿ポテトがつく)、彼女はペロリ。
そして、感動を僕に伝える。





「前回エディションに行って、ここを超えるところはなかなかない!って思ったけど、私ここが1番好きです。最高すぎます。雰囲気もお料理も何もかもが。私たち、接客も気にする方じゃないですか笑。その接客も素晴らしいし…」







それはもう早急にまた来ないといけないな。







君としか来ないよ、ここには。



ちなみに、いつも激美人とばかり食事をしていると自慢しているが、内心とっても恥ずかしかったりもするのだ。
僕のこの顔、この髪、この服装、何もかも君に相応しくないのではないかと。割と本気で、鬼殺しをチューチューしているみすぼらしい老人の気分。多くの男性はすごいな。よくそのナマズのような顔や樽のような腹を携えて、眩い美人を横に置けるよな、と。



もっともっと努力しないとな、僕も。