「失った○年を取り戻すように」って言葉はドキュメンタリーなんかでよく耳にする。
 その場合皆さん、家族と鍋を囲むとか、近所を散歩するとか、ほんと日常の些細な幸せに歓びを痛感して涙したり。
 そういえば冤罪事件の袴田さんが長い長い監獄生活から娑婆に出たときもそんなことをテレビで言っていた(もっとも、袴田さんはあの時既にアレだったのでナレーションが勝手に装飾したに過ぎないが)。




 一昨日からの僕といえば、まさにそれで、とはいっても、僕は家族と鍋とか近所を散歩なんてもんで欣喜雀躍する欲の少ない人間じゃなくて。
 もう来月死ぬのかなってくらい、早くも"好き"を謳歌している。好きな人に触れ、好きなモノに触れ、好きなコトに触れ、こんなに人生って僅か2日で豊かに蘇るんだな…いつ死んでもいい…とか言葉にすると本当に死んじゃいそうで、それは嫌だから撤回するけど、もう放心するくらい。






次元としては低いけれど、1人で喫茶店に行くということも僕を形成する"好き"の1つで。






ずっと行きたかった場所。こんなとこに洒落た喫茶店なんてあるのかなという感じの路地。




入り口から驚いた。とんでもなく広い。
お花屋さんの中にあるこのカフェ、フロムアファーは、毎晩チェックしているブロガーさんのブログで知った。Instagramを見る限り、とっても感染対策に気を付けていて(チェーンではない喫茶店に割と多い。SNSを拝見すると、オーナーの価値観が垣間見られる)、そして本当に空間の心地よさ、良いものを提供しようという心遣いが感じられる。





お好きな席にと促され、せっかくなのでかわいい絵本が並ぶ(ブックカフェでもある)本棚横の広いソファーを贅沢に陣取った。










こんな席。








来る前からフードは決めていた。プリン一択。
ここ数年プリンが流行り過ぎ、レトロブームもすご過ぎて、僕の"好き"がマジョリティの渦に埋もれる気がして嫌だったりするのだが、好きなものは好きだ。










いかんせん店内暗めなので上手く撮れないが、なんでいいフォルム。










フラッシュをたくとおでんの具材ぽく写ってしまう。










ドリンクはマキアート。マキアートがある店、少ないな。
スタバでは馬鹿の一つ覚えみたいにキャラメルマキアートしかオーダーしない方、アレとは違いますよ。











こんな感じでゆったりと。
プリンがミニチュアに見えるくらい、店内が広々としている。











フォームを少しずつ口に含んだ。
なんて美味いんだ。ちょうどいい苦さとミルクの濃さがたまらない。










プリンは、しっかり固めプリン。
そして意外に皿が深いので、高さがある。そして何より、カラメルがたっぷりすぎるほど入っているため、下層のプリンはカラメル色にしっかり浸かっており、そのしみしみプリンがまた、もう。



ちなみに、いつぞやヘッケルンをご一緒した先生が、カラメルを「奇跡の黄金水」と称し、正面の先生にも飲むことを勧めたものの、明らかに気乗りしない様子だった。ならばとその先生の皿を手繰り寄せカラメルバキュームをする様が印象的すぎて、プリンを食べる度思い出す。もちろん、僕は完飲している。











そして、久方振りに好きな本を読める時がやってきた。
1冊目は当然、大切に箱に入れていた、清春さんの自叙伝。なんという幸せな時間。










店内の様子。BGMが心地よい。











カウンターにいるどなたなのかわからないが、オーナーのセンスが光るインテリア。









正面がお花売り場。
そして左手がレジカウンター、右手が入り口。
奥のさらに左側にも席がある。











絵本のセンスがまたなんとも素敵で。
季節によって変わるのかな。
おにぎりの本、次来るまであるといいな。










19時の閉店時間に退店し、大きいスカイツリーとほっとんど誰もいない浅草寺仲見世をチラ見して、銀座方面へ歩いた(驚く人は一度歩いてみて欲しい。思いの外近い)。



おまけ。
仲見世といえば、つい先日発表されたこちらのMV、マモ兄待望の新曲のロケ地だ。
一昨日までの僕の個人的状況に相応しい、このタイミングでの発表に歓喜し、先週までほぼ常時聴いていた。
とにかく才能が光る。そしてMVで嘔吐シーンを出すアーティストはマモ兄くらいだろう。最高だ。
…もう出そうでしょう反吐が出るほど…エビバディ嘔吐!…


マジョリティの感性には相容れないと思いますが、よければ。