料理は、何より味、そして見た目、香り、時として音、触感(食感も)が満足度を左右する。
だが、それと同等に大事だと思うのが、ネーミングだ。
意外と普段(よほど高級店にでも行かない限り)意識せずオーダーしているかもしれないが、意識せずともそのネーミングは、少なからず僕らの購買意欲を駆り立てているはずだ。
ただ『ピザです』と言われてサーブされるよりも、『夏野菜の彩りピッツァです』の方が絶対美味しそうだし、『石窯で焼いた夏野菜の彩りピッツァです』だと尚良いし、『本場ナポリから取り寄せた石窯で焼いた夏野菜の彩りピッツァ〜地中海の風(かぜ)とともに、です』だと……うーん、さすがにくどいか。
ちなみに個人的には『〜風(ふう)(ないし風味)』と命名すると途端にチープに思える。
なんというか、
"本物を使いたかったんですが、予算の関係で安価な似て非なる物を使いましたぜ!まぁどうせ分かんないっしょ、大差ないって!ささ、どうぞ!"
と言われている気分で。カニ風味サラダとか。
あとは、ミラノ風ドリアみたいに
"本場の味をリサーチするとか、コスト的にも技術的にも無理なんすよ、でもイメージこんな感じでしょ、美味しいよ!ささ!"
なやつも多い(別に僕サイゼ大好きですよ)。
でも、少なからず、いや、賢しいオーナーの切り盛りする飲食店なら、絶対メニューの命名には創意工夫しているはずだ。
日比谷ミッドタウンにある、シャンゼリゼ通りを思わせるこちらのカフェのランチ、ピザでもピッツァでもない。
フラットブレッドだ。
フラットブレッドと聞いて、薄くて軽めのパンだろうと踏んでいたが、なかなかにボリューミーだった。軽いランチを望んでいたのに調子が狂った。が、うますぎるので不満はない。
マッシュルームとチーズが惜しげもなく乗っている。そしてどこから食べてもザクっザクのガリッガリ。ピザの耳が好きな僕にとっては(あれと、食パンの耳を残す人が実に多いが、気が知れない。気が知れないというか気が触れたんじゃないかと毎回思う)、好きだけで構成されているピザ、おっと、フラットブレッド。
ネーミングといえば、『カボチャ畑でこんにちは』『ドラキュラのお夜食』みたいな料理を思い出す。これを聞いて、懐かしさを覚える人は僕と気が合いそうだ。
ダイヤモンドダイニングを代表とする、所謂エンターテインメント居酒屋(竹取物語、絵本の国のアリス、アラビアンロック、キリストンカフェなど)、昔はよくあったなぁ。最近はあまり流行らないのかな。新宿歌舞伎町には、上記のいくつかはまだ見掛けるが、あまり話題にならない。時代とともに流行は変わるのだ。今日も放映される『M〜愛すべき人がいて』だって、多くの若者にとって、何のことやらという感じだろう。あゆの曲全曲愛する僕としても、よせばいいのにと感じている。予告編で田中みな実の熱演を観る度に、多数の視聴者の反応が浮かぶようで切なくなる(田中みな実は世代だろうし、きっと思い入れて演じてくれているのだろう。それにしても美しい)。
と、とどめの脇道は、愛すべきハナエ嬢の言葉。
ここ最近、友人から「自粛ガチウケるw」などと冷やかされることがたまにある。その度、若年層は普通そんなもんなのかなぁ、それなら、彼ら彼女らに迷惑をかけぬよう僕も多くを語るまい、と思っていた。
ハナエ嬢は弱冠26歳、大いに若年層だ。
質問者の「妬む」という感情はよくわからないけども。妬ましく思うくらいなら好きにすればよい。それにしても、僕自身より考えさせられた。
戒めも素晴らしい。
そしてどこまでもハナエ嬢である。
ありがとう。