11月、溜池山王をふろついていると、魅力的すぎるANAインターコンチの柱が目に飛び込んできた。
「チョコレートセンセーション」
チョコレート尽くしのビュッフェのようだった。
小さい頃は大好きだった食べ放題、大人になってからは敬遠していた。坊やの頃は、目の前に何十種類もの料理が並んでいるだけでわくわくしたものだ。それが、いつからか資力に見合わぬ程に目と舌ばかり肥えに肥え太り、「安かろうまずかろうもので腹いっぱいになっても不快なだけ」と思うようになってしまった。
だが、数年前、当たり前のことに気が付いた。
食べ放題の全てが"安かろうまずかろうもの"とは限らないと。
以降、ホテルビュッフェの中でも、品質に期待できそうなもの(ホテルでも、いわゆる夢可愛い、映え重視でおもちゃみたいなスイーツではないもの)を選んで、せっせと通うようになった。ちなみに昨年はグランドハイアットのチョコレートビュッフェに行った。
1人でもよかったが、同伴してくれそうな友人に声をかけてみた。
「センセーションしたい」
とだけ書いて、URLを添えた。
「センセーションせねば」
と返ってきた。よって決行。
予習の段階で、既に慄いた。
50種類を超えるチョコレートスイーツがメニューに載っていた。
一応、甘くない系、サンドイッチなんかもある。
友人は、ルビーチョコ初体験だそうで楽しみにしていた。感想を問うてみた。
「いちごと言われても分からない…」
そうか。ちなみに僕もわからない。バカ舌ではありたくないのだが、残念無念。
真ん中の豆腐みたいなものは、トルティーヤ。美味しくておかわりした。
白チョコ黒チョコピンクチョコの滝。
顔をつけて飲みたいと思ったのは僕だけではなかろうよ。
ジャンポールエヴァンのような有名ショコラティエで一粒400円程で売ってそうなチョコレートが、品よくウインドウに並べられ、そして取り放題。夢のよう。これだけでもこの店のビュッフェのクオリティが窺える。
店名の通り夜はバーなようで、ビュッフェにありがちな大ホールではなく、適度にコンパクトかつシックな雰囲気。
見ての通り、しょっぱい系多めチョイス。
ティラミスやホワイトチョコムースも取ってきた。
とんがりコーンみたいなやつは、タコミートにパイをつけて頂く感じ。下は、ルビーチョコの滝に浸したワッフル、チョコレートミルクレープ、何かしらのチョコレートのケーキ、ホワイトチョコとレモンのタルト。多分。
90分制だったが、目の前の友人、喋ることに夢中なのか食のペースがゆっくりなのか、気づいた時には1周しかせぬまま75分経過していた。僕はそれに気付いていたのだが、昨年の後悔を考え、まぁいいかと敢えて指摘しなかった。75分経過した段階で
なお、チョコレートセンセーションは今月半ばに終わった。今はストロベリーセンセーションだ。
この植木鉢は、なぜか前菜的に持ってきてくれた。スプーンがスコップ。中身はカカオ率高めのチョコレート。チョコレートも、カカオ率高めが健康に良いとのことだが、僕はやはり甘い方が好きだな。
「まだこんだけしか食べてないけど、いいのか?」と尋ねた。
友人は素で気付いていなかったようで、慌てて2周目を取りに行った。そして僕も。
よって、上の通り少なめで終了。
昨年の後悔とは、グランドハイアットビュッフェで50個近くのチョコレートスイーツを食べ、帰宅してカラムーチョを1袋食べ、その後、描写を自粛せねばならぬ惨状になったというものだ。
とどめのカラムーチョのせいなのかは不明だが、以後、ビュッフェといえど、もったいないと思わず、程よく品よくを心掛けている。にしても、もう少しは食べたかったな。