冬休みだ。

 長期休みといえば旅行。旅行といえばお土産。お土産といえばお土産問題だ。


お土産問題とは何かというと、①渡すまで我慢できるか問題、②あげた以上所有権はあちら、恩着せるのはやめよう、でも無理問題、のことだ。


①は、もう病的自制心の欠如というか、友人のために買ったお土産の美味しそうさに負けて、渡す前に食べてしまうのだ。小さなお土産だけでなく、箱入りの萩の月もビリビリと剥いてしまう。買ってきたよーと友人に言う前なら、なきものとすればよいが、言った後の場合がやっかいだ。
しかし、東京は便利な街で、全都道府県のアンテナショップがある。なので、やっちまった後は、いそいそとアンテナショップに赴く。何なら最近は、アンテナショップに行けばいいか、と思い、躊躇いなく食ってしまう。


②は、お土産に限らないのだが、僕はいかんせん恩着せがましい。自分自身、感謝や礼節をとても大切にするタイプで、それ自体はよきことなのだろうが、つい相手に対しても求めそうになる(というか求めている)。
お土産をあげて、その後何ら感想がないと


「えっ。ドブにでも捨てたのですか?それかまさか腹を下したから悪くて言えなかったとか…?それか、第三者に譲渡したとか?や、譲渡するなら返却して頂けませんかね、見も知らぬ輩に食わせるなら、喜んでくれる僕の友人にあげたいんで」と、割とマジで思う。
書いていて思う。とんでもなくうざいと。僕が貰う側なら、そんなビービー言われるならいらねぇ、と思う。でもさ、ちんすこうのバラ配りならまだしも、それなりのお土産をその人の喜ぶ顔を思い浮かべて買った以上、感想は欲しいよ。感謝と感想は別物と思っているので、別に「口に合わなかったわー笑」なんていう感想でもいい。
とにかく、

対価はいらない。感想が欲しい。

…こんなことを言ってるから、僕の友人は僕の前でどんどん彦摩呂化していく。「このカラメリゼされたトップコートと、中のクリームの卵感がたまらなく合っていて美味しいよ」なんて、毎回書かせてごめんよ、優しい友人たち。




 結論、あれやこれや考えあぐねたり、他人を煩わせるくらいなら、美味しいものは己1人で堪能すればよいのだ。
 特に出来立ては、持ち帰ると美味さ半減以下。ならば、気にせず1人で味わうが1番。ここホノルルコーヒーのマラサダもそうである。チェーン店だが、あつあつマラサダが食せるのはここ赤坂見附店だけ。多分。




店内に漂うココナツの香りがほんのり苦手なのだが、やはりマラサダは美味しい。本社に言いたいくらいの気持ちを、バイトのお姉さんへの「ごちそうさま」に込めて、満足顔で退店した。