いつどこで聞いた言葉なのか、これも時代の産物なのか、出典は皆目思い出せないこの言葉。




「女は上書き、男は別フォルダ」


  間違いなく、男女交際など色恋にかかる例えなのだろう。男女の色恋どうこうを自分が語るのは吐き気がするほど嫌いだが(そもそも望まれてもいないが)、思い出全般に使える表現とするなら、俄然後者派である。絶対別フォルダ。うざいくらい別フォルダ派だ。


  幼少期より、思い出を異常に大切にしており、楽しすぎる思い出があった場所には全部鍵をかけている。いつか、日本中鍵だらけになりそう。開錠するのは、同じ人と行くか1人で行くか、それか…その人を凌駕する相手と行く例外的場合……上回るとか下回るとか大変失礼だし何様という感じだし、何より、こんなことを言っていると誰も食事に行ってくれなくなりそうだが、まぁそれもそれとして。要は鍵のかかった街、四谷。



  よって1人で行った。最高に美味い飯。







  3月に、偶然王様のブランチを観たところ四谷特集だった。横澤夏子が食べ歩きをしていた。魅力的な店ばかりだったが、中でもこの牡蠣バターがたまらなく美味しそうだった。知らなかったが、とても有名な店らしい。



  本来はカツレツ専門店のようだ。牡蠣バターは季節限定らしく(3月いっぱいとのことだったが、今年は4月までやっているようだ)。







  行列に並んだ。そんなには待たなかった。





  初志貫徹牡蠣バター、と目玉焼きの最高メニュー。




  見ての通り、大振りもいいとこ大降りだ。片栗粉?小麦粉?何かしらまぶしてあるもので牡蠣のエキスが閉じ込められており、かじるともう滴る滴る。ベーコンと一緒に炒めているのか濃いめの味付けでご飯が進む!




  当然汁も全てご飯に染み込ませて完食した。なんなら目玉焼きをご飯に乗せ、そこに汁をぶっかけた(品性を疑われそうなので速やかに胃袋に入れた)。
サーモンバターや、ウリのカツレツも種類が豊富だった。こんな店が四ツ谷の駅前にあったなんて。


  オーナーは非常に寡黙そうな方。誰かに似ているとカウンター越しにずっと考えていた。多分の多分だけれど、津田寛治だと思う。ツダカンのイメージが妙に老舗洋食屋にマッチしている気がして、勝手に好印象を抱いている。ご馳走さま。


  ※僕の顔見知りのために付言しておくと、他人に迷惑をかけてまで自我を通すことは嫌なので、集団行動や任務的な都合の場合は思い出のことは、忘れるようにしている。ふぅ。こういうの言っておかないとね。