年末のこと。米国から帰国したばかりの友人との、ラインでの会話。

僕「どっか食べ行くか」

友人「そうだな、行くか。」

僕「どこ行く?予約するの面倒な気もするから予約しなくてもいいし、してもいいし、要はどっちでもいいな」

友人「そうだな、どっちでもいいぜ笑。なんかあればにしようぜ。年末でもどっかは入れるだろ。面倒になったらキャンセルしてもいいからな!」


僕「もちろんだ。そちらもダルくなったら遠慮なく!」

友人「残念ながら候補が見つかってしまった。こことかどうだ?」


僕「ん?…残念ながら最高のチョイスすぎる。ここにしよう」


 そして当日。


友人「悪いが、10分遅れる。どこか暖かいところにいてくれ」


僕「よかった。さらに10分遅れる。どこか暖かいところにいてくれ」


友人「おい、文面パクるなよ笑」



 そんなやりとりの後訪問した、期待の遥か上を超えたクオリティの隠れ家レストラン。


  ラザニアと、自家製フォカッチャとサングリアが有名らしい。そして黒板のメニューが豊富すぎて、どれも美味しそうすぎて永遠に決まらない。と、夢のようなコースが。その安さに目を疑った。僕個人の金銭感覚に対する評価とか一切無視して言うと、引くほどに安い。この量と、なんといっても質。そこらのイタリアンチェーンでもあるまいに。



  互いにそんなに飲まないが、まぁせっかくなので。




 以下、プリフィクスで。まず、これが世にも美味かった。水ダコのカルパッチョ。




  このガーリックの効いたオリーブオイルを、これでもかというくらいパンにこすりつけて食べた。本当にたまらない。




  そしてこのパンがまた。お店で焼いているらしいが、こんな美味いフォカッチャ食べたことがないくらいの美味さ。この輪っかみたいのもとても美味かった。これがおかわり自由なのだ。
  おかわり自由なものに対しても、誰が何個とか、いえいえどうぞとか謎の譲り合いをする場面の多さよ。そして面倒くささよ。この日はもう、互いがトイレに行っている間に空っぽにし合ってやった。あぁ、なんて気が楽な時間。




  そして、温かいカプレーゼ。これがまたもう。




 そして前菜盛り合わせ。
手前から左に、ロマネスコバジル和え、かぼちゃサラダ、サラミ、生ハム、緑のなにか、鶏ハム、中央がラタトゥイユ。ここまででもかなり腹パン。そして引き続きパンが進むこと。




  からの、お待ちかねのラザニアである。思い出しただけで…その場でのたうち回りたくなる。




  そしてカラメルプディング。大満足のフィニッシュ。もちろんデザートは一人一皿だ。人との飯で、できればせめてデザートはシェアしたくない僕としては嬉しい限り。




 これら、ドリンク抜きで2500円である。


 会話を見て、とても人間関係にだらしないと思われただろうか。僕も彼女も、一応普段は"いわゆる普通の"友人関係に合わせて暮らしている。互いに言い合うのが、別にそれはそれで楽しめ、何ら苦ではないということ。とはいえ、これを言ったら引かれるだとか、正しい間違ってるだとか、嫌いつらい腹が立つ悲しいという負の強烈な感情だとかは、まるっとまとめて面倒くさくて仕方ない。だから、互いにそれらが一切ない者同士で語らうのは本当に楽ちんでいい。


 最後に土産をもらった。

僕「うっ。なにこれ。死ぬほどいらないんだけど」


友人「がはは。その言葉が聞きたかった!ペン付きのもあったが、それだとペンとしては使えてしまうからな。よかったわ。」


  心底苦い顔をして土産を持て余し触る僕。その様をゲラゲラと笑い写真に収める友人。こいつとは行きたいところが山ほどある。全て行こう面倒にならなければ。