なんと読むかわかるだろうか。セピアと読むそうだ。いい名前だ。セピア色の思い出、なんて何かの歌詞にあったな。中学校の担任が「夫が亡くなってからの毎日、校門からの並木道がセピア色に見えた」と初回の授業で零し、一同俯いてしまったことを思い出した。でも決してセピア色は悪いものではない。物哀しく切ない色彩もその時々の物語を演出する重要な要素だ。
麻布十番駅からかなり離れた、セピア色もきっと似合う喫茶店。十番商店街の喧騒からは考えられぬほどの静寂。
マスターは坊主に髭を蓄えた味わい深い方。
下のサクサククッキー生地、ラムレーズンが練り込まれ上に洋酒のかかったチーズ部分、まさにここでしか食せないオリジナルチーズケーキだった。ふわふわで、1分と経たず完食。
店内はノーボーカルのオルゴール調サウンドが流れている。暑い初夏の日、読書には最高の環境だった。
ご近所に確か韓国大使館があったように思う。
韓国語で話す男性4人組がトーストを美味しそうに頬張っていた。店内を見渡せば、韓国語の置物がちらほら。あとは野球関連の年季の入った代物がちらほら。つい前のめりにマスターに絡もうとしたが、まだ新参者。次回の楽しみにとっておこう。