手術後 ② | きょうこのブログ……胸腺癌 発症、手術、その後

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胸腺癌の発症、手術、術後、経過観察を書いています。症例の少ない癌なので、私のブログを通じて、胸腺癌本人、ご家族、医療関係者のみなさまのお役に立てたら幸いです。

2011年10月6日

手術の翌朝。

看護師さん、
「カーテン開けましょうね」

「どうですか? 痰が沢山出て辛かったですね。今日1日はまだ辛いかもしれませんが、明日辺りから減ってきますからね。」

………

「きょうこさん、きょうこさん。大丈夫ですか? 私の目、見てください。きょうこさん、わかりますか?」

耳は聞こえている。
看護師さんが何か慌てた様子だ。

「先生、呼んできますね。」


主治医と看護師さんが何やら話してる。

「きょうこさん、目の焦点があっていない感じだし、ぼんやりしている感じで、反応が薄いです。」


「きょうこさん、わかりますか? 私のことわかりますか? 」

と、先生の声。確かに聞こえているから頷くも(自分では頷いたと思っている)…

「確かに、反応がおかしい。私の指先見てください。」

「うん。焦点もあってないね。外すしかないかな。」

「でも、先生。昨日手術したばかりですよ。無理ですよ。」

「そうだな。もう少し様子みよう。」


私が、どうしたっていうの?どうやら、痛み止の副作用で私の容態が悪いらしい。


午後になると、酷い吐き気に襲われた。

昨日の朝から何も食べていないのに、気持ち悪くて吐き気が止まらない。

黄色い胃液ばかり出る。酸っぱい。


看護師さんが、また先生を呼んでくれたのか主治医の声がするも、顔をあげることも出来ない。


「もう、抜くしかないでしょう。」と、先生。

「きょうこさん、わかりますか? 肩についている痛み止がきょうこさんに合わないの。抜きますね。これ以上つけておくと、もっと危険な状況になっちゃうの。ごめんなさいね。」

何で謝られているのか理解出来なかったが、抜けば楽になれる。 そう思った。



抜いたら吐き気は治まった。焦点も合うようになり、意識も反応もよくなったようだ。

「あとは、きょうこさんが頑張るしかない。」

そう、先生は言い、
「次のことはまた考えよう」
看護師さんにそう言って部屋から出ていかれた。


看護師さんも、「これ片付けてくるから、ナースコールここね」と、私の手の直ぐ届くところに置いて部屋を出ていかれた。


吐き気も治まり、気分が良くなった。ところが…30分後くらいだろうか、もの凄い痛さだ。
切り傷が痛いのか、骨折状態の胸骨の痛みなのか、とにかく何処が痛いのかもわからないくらい痛すぎて、頭もパニック。

本当に痛いときって『痛い』ということも言えないんだと思った。涙も出ない。
ただただ、身体が熱い。脂汗が垂れるというより、流れ出すという表現が合っているのか。もう、びっちょりだ。


様子見に来た看護師さんが、「痛み止外しちゃったから、痛いよね。ごめんね。」

さっきのごめんねも、このことだったのか。

『何か方法ないんですか』と、声を振り絞った。

「座薬、先生に聞いてきますね。直ぐ来るから」と。

もう直ぐ痛みが治まる。もう少しもう少し。と、自分を励ます。

看護師さんが戻るも
「ごめんなさい。きょうこさん。血圧が今は低すぎて座薬は危険だって。手術して4~5日しないと、血圧が戻らないの。頑張れる?」

(頑張れる?って聞かれても頑張れるなんて言えないよ。麻酔から覚めずにあのまま死んでしまった方がよかった。)

看護師さんが、窓を開けたり、汗を拭いたりしてくれたが痛みは強くなるばかり。

「他には?」と、やっとの思いで声に出す。


「痛み止の錠剤があるけど、飲めないと思う。持って来てみますね。」

「これです」と、出された錠剤は大きかった。
喉の下から切ったこの痛い状態で、この錠剤がどうして飲めるか? 喉を通って下に降りていく錠剤を想像しただけで、無理だろう。

「やっぱり、飲み込めないよね?」と、看護師さん。



私は錠剤を手に取り、じっと見つめた。
(この錠剤を飲めば、痛みから解放される。飲み込むのは一瞬だ)
私は錠剤を飲むという選択をした。
「飲んでみます。」

先生からの許可も出て、私は目を閉じたまま、飲み込んだ。『痛い』暫く目を閉じたままじっとしてた。

痛み止の効果は直ぐには現れなかったが、夕方になると、少しずつ痛みがひいた。