7月19日夜公演

サリエル:ユ・ヒョンソク

ジェラス:キム・ジュニョン

モーツァルト:チョン・ジェファン

 

7月21日夜公演

サリエル:ペク・インテ

ジェラス:ファン・ミンス

モーツァルト:パク・チャホン

 

 

プーシキンの「モーツァルトとサリエリ」を題材にした創作ミュージカル。

2014年の初演、2016年の再演から8年の時を経て、今回3演版の上演となりました。

日本では「サリエリ」と呼称するのが一般的かと思いますが、韓国での題名が「サリエル」となっているため、ここでは「サリエル」で統一して呼ぶことにします。

 

 

ちなみに、副題は「嫉妬の囁き」。

この副題がこの作品の真髄を端的に表現しているのではないかと思います。

当代随一の宮廷音楽家であるサリエルが天才モーツァルトに対しての抗いようのない嫉妬に苦しみ毒殺に至る、というのが主たるストーリー。

謎の男「ジェラス」が登場するのですが、その名の示すとおり「嫉妬」の擬人化と言っていいような存在。

サリエル・ジェラス・モーツァルトの緊迫する関係性が情動的な楽曲と共に綴られていきます。

 

 

「声帯破壊ミュージカル」という異名も納得の、凄まじいばかりの歌唱バトルが圧巻。

音楽の奔流に飲み込まれるような、そんな観劇体験が病みつきになりそうですww

 

 

今回配役替わりで2公演を観劇したのですが、演じる俳優さんのケミによってサリエル&ジェラスの関係性が違う色合いに見えるのも面白いところ。

ヒョンソクサリエル&ジュニョンジェラスの組合せは、背格好や外見も似ているニコイチ感のある二人で、拮抗する凄絶な歌唱対決が凄かった!

爆音・高音なんでもござれで、歌い終わりの会場の盛り上がりも凄かったです。

 

 

そして、ジュニョンジェラスがとっても魅力的。

ダークファンタジーに出てくる妖魔のような雰囲気で、妖艶で邪悪なオーラにゾクゾク。

高潔だったヒョンソクサリエルを絡めとるように悪の道へと誘い込み・・。

二人の耽美で切なく背徳感のある関係性がタマリマセンでした。

 

 

ジェラスは基本的にはサリエルの嫉妬の擬人化として存在しているのですが、誰の心にも嫉妬心や劣等感が潜んでいるように、それぞれの心に存在する超越的な存在として描かれているのも興味深かったです。

壇上の皇帝の椅子に悠然と座り、下界を見下ろすようなジュニョンジェラス。

その闇の帝王感にシビレました!

 

 

インテサリエルとミンスジェラスの組合せだと、カリスマ的なインテサリエルに小悪魔ミンスジェラスがねっとりつきまとうというようなイメージ。

力関係的にはインテサリエル>ミンスジェラスに見えるのに、少しずつ壊れていくインテサリエルがもの悲しかったです・・。

 

 

サリエルとジェラスとのケミに加えて、それぞれのモーツァルト役の俳優さんの色も交じってくるので、三人の組合せによって雰囲気が異なるのがとても面白かったです。

来月、また違う俳優さんたちで観てみたいと思っています♪