【アンナ・カレーニナ観劇レポ/3月15日昼公演】
アンナ:オク・ジュヒョンヴロンスキー:チョン・スンウォンカレーニン:イ・ゴンミョンレビン:ノ・ユンキティ:ユ・ソリ「アンナ・カレーニナ」三演版、2回目の観劇はオク・ジュヒョンさんのアンナで観て参りました!どこか退廃的な雰囲気があり不幸の翳を背負っているようなジュヒョンアンナは、ヴロンスキーへの愛と執着が「救い」を求める姿そのものに見えました。ジュヒョンさんのアンナは、「愛に救われることを祈り続け、最後にその祈りを手放した」アンナ……そんな風に感じました。競馬場でアンナがカレーニンに訣別を告げるシーン。通常の台詞は「(彼を)愛しているの」です。ですがこの回のジュヒョンアンナは、「진심으로 사랑해요」(心から愛しているの)、と言い換えていました。ヴロンスキーへの愛だけが「生きるよすが」になっている、そんな切実さを感じました。続く1幕ラストの「自由と幸福」。ジュヒョンアンナは祈るように手を組んで歌い、壇上にヴロンスキーが現れた時、ふわっと笑ったんですよね。その笑顔がとても印象的でした。ジュヒョンアンナにとって、ヴロンスキーの存在は「救い」と同等の意味を持っていたのではないでしょうか。2幕に入ると、ジュヒョンアンナはMCを見て怯えるようになります。「橋はすべて燃え落ちた」で、橋の上にアンナとヴロンスキー、橋の下でキティとレビンが「再び始めよう」と歌うシーン。アンナは階下にいるMCを見つけて怯え、ヴロンスキーに「見てあれを!」という演技をするのですがヴロンスキーは気づきません。ジュヒョンアンナにとって、MCは「運命」や「死」を体現する存在なのではないか、そんな風に感じました。パッティのアリアの後、打ちのめされたアンナは「愛は私の味方じゃなかった」と茫然とした様子で歌いました。そしてMCを見つけると、もう怯えた様子は見せず、導かれるようにMCの後に着いていったのです。愛に救われなかったアンナは絶望し、恐怖だった「死」は導き手に変わる……その過程に胸が痛んで仕方ありませんでした。ラストナンバーに入る前、ジュヒョンアンナは橋の上から階下にいるMCを見つけて笑いました。その笑顔は凄みがあって、背筋がぞっとするような笑顔でした。そこからの歌唱は不安定なアンナの心そのもののように、時に切なく時に激しく時に狂気に満ち、「凄絶」という言葉にふさわしい緊迫感でした。ラスト、「死のような愛」と歌った時、ジュヒョンアンナは両手を組み祈りを捧げる形で歌っていました。そしてその後、組んだ手を解き、両手を広げて天を仰いで笑ったんです。その笑顔は諦念に彩られた哀しい笑顔でした。そこから両手を広げたままくるりと向きを変え、列車に向かっていって暗転……祈りを手放し、救いを諦めたジュヒョンアンナ。とても哀しかったです……ジュヒョンさんの凄絶な演技、本当に圧倒されました!