ビクター:シン・ソンロク

アンリ:イ・ヘジュン

エレン:チョン・スミ

ジュリア:ソンミン

ルンゲ:キム・デジョン

 

 

 

※  かなり踏み込んだ内容を記載しています。未見の方はご注意ください ※

 

 

 

フランケンシュタイン10周年記念公演、3公演めの観劇はソンロクビクター&ヘジュンアンリという新キャスト同士での組合せで観てまいりました!

めっっちゃ良かったです!

新キャストの演技には新鮮さがあって、意表を突かれるというか思わぬ方向からの感性を刺激されて、トキメかされたり泣かされたり・・。

感情を揺さぶられまくりでした。

 

 

ソンロクビクターは尊大で嫌なヤツだけど、優しさもあり狂おしいほどの科学への渇望もあり、その多面的な人間性がとても魅力的。

ヘジュンアンリはそんなビクターに憧れを抱き、献身的に補佐をする感じで、そんな関係性も新鮮でした。

ヘジュンけむるは、とにかく「可哀想な」怪物。

哀しみが深すぎて心を寄せずにはいられない孤独な生命体。泣かされました!

 

ということで、早速レポに突入!

 

 

☆  1幕

 

<ただ一つの未来>

 

長身で軍服が映えるソンロクビクター。

両腕をさ~っと広げると、腕も長くて超格好良かったです!

アンリの「禁断のりんご」あたりで挑発するように笑いながら手を叩く所作、ドンソクビクターに似ていて厭味ったらしくて素敵でしたww

歌い始めは眉間に皺を寄せていたヘジュンアンリでしたが、後半徐々にビクターの言説に納得していき・・。

階段を駆け上がる前に浮かべた、ふわっとした微笑みが最高でした♡

 

 

<平和の時代><独り言>

 

帰還したソンロクビクター、めっちゃ感じ悪い!www

尊大で嘲笑的な態度がハマってました。

ソンミンさんのジュリアは「不幸のオーラ」を身にまとっているようで、すべてのナンバーにおいて不幸が滲み出るような感じがとても印象的。

2幕冒頭の幸せそうなシーンでさえも、不幸オーラを放っていたのには驚きでした!

 

 

<一杯の酒に人生を盛り>

 

酔っぱらってテーブルの上に大の字に寝転がり、実験日誌を開いて顔の上に伏せてふて寝しちゃうソンロクビクターが可愛すぎ!

そんなソンロクビクターの隣に腰を下ろし(机の上だけどww)、ふっと笑いながら実験日誌をビクターの顔の上から取り去るヘジュンアンリ。

そして、覆いかぶさるように顔を近づけ「一杯やります?」って。

このシーン、シルエット的にも美しかったし、もしかしてそのままキスしちゃうんじゃないかと(いや、そんなわけはないけどその位の勢いだった!)めっちゃトキメキました♡

 

 

ナンバー途中で「そりじろ~!(叫べ~!)」と酒場の客を煽るヘジュンアンリ。

前方に進み出てからは、ソンロクビクターとヘジュンアンリによる両手をグーの形にして猫のように振るにゃんにゃんダンスが可愛すぎました♡♡♡

ルンゲが登場してからも、気に入ったのかずっとにゃんにゃんダンスを続ける二人がめちゃめちゃ可愛かったです♡♡♡

 

 

<私はなぜ>

 

不気味に笑ったり、膝を抱えて蹲ったり、一曲の中での感情表現が多彩で葛藤から決意への流れがとてもドラマティック。

「ベン・ハー」の時にも感じたのですが、ソンロクさんって一つのナンバーの中で変化していく心情を、歌と演技で表現していくのがとても巧みな方だと思います。

説得力があって、惹きつけられました!

 

 

<君の夢の中で>

 

歌いはじめから泣き顔のヘジュンアンリ。

でも決意は揺らがないんですよね・・。

最後の高音の歌い上げ、胸にせまりました・・・。

 

 

<偉大なる生命創造の歴史が始まる>

 

一つ一つのフレーズに意味を持たせるような表現に目が釘付け。

次第に狂気じみた様子になっていく感じもイイ!

培養槽に振り向き、ハッハッハと底冷えのするような笑い声を立てるのにはゾクっときました。

終盤は培養槽の中の怪物も動きが激しくなり、最後の「けおな~!(目覚めろ~!)」の時、ソンロクビクターが両腕を上に差し上げるようにすると怪物もシンクロしたように両腕を上げていて、不気味であると同時に奇跡の一瞬にも思えてすごく印象的でした。

 

 

☆  2幕

 

<行方不明>

 

ヘジュンけむるは、本当に可哀想感が強かったです・・。

ビクターと再会した時にも、ビクターの第一声にひどく傷ついたのがわかるんですよね・・。

「久しぶりに再会したのに」の台詞のところ、声が震えていて気の毒に思えて仕方ありませんでした。

そこからは徐々に怒りに染まっていきますが、ビクターの「なぜ帰ってきた。望むことは何だ」の台詞でまた傷つくんですよ~・・。

ビクターの台詞をそのまま繰り返す声が震えていて、その悲痛さに胸が痛みました・・。

 

 

<そこには>

 

カトリーヌの「クマがいっぱいいるよ」に対して、ヘジュンけむるは「かごしった・・かごしった・・(行きたい・・・行きたい・・)って泣きながら言ったんですよね・・。

この公演の前に観たカイけむるとウンテけむるは喜びと期待に満ちた全力の「かごしぽ~~~っ!(行きた~~~い!)」だったので、その落差に意表を突かれ、とってもとっても可哀想に思えて、もう何なら私が抱きしめてあげたくなりました。ぐすん。

 

 

<私は怪物>

 

ヘジュンけむるは終盤に後方の傾斜に昇っていくことはなく、舞台前方で演技をしていました。

激しい「怒り」よりも、「哀しみ」と「孤独」を強く感じた<私は怪物>でした・・。

 

 

<傷>

 

平静に穏やかに歌われていく前半。

子供との対話も比較的淡々と進み、「君も大人になれば人間のふりをするだろう?」の台詞の後、「くろじま(そうはならないで)」と平坦に言いながら子供を湖に落としました。

ここまでは標準的な<傷>だったのですが、驚いたのはこの後です。

湖面に向かって、ヘジュンけむるは泣きながら大声でもう一度「くろじま~っ!」と叫んだのです。

そこからの「一人の怪物がいたんだ・・」の歌唱は涙に咽んで・・。

「あの世界の果て そこに」まで歌って間を置き、「へんぼく(幸せ)」と震える声で呟いてから「そんなものがあるのだろうか」と泣きながら歌い終えました。

 

 

「人間」に対する絶望と哀しみが痛いほどに伝わってきて、涙が自然に零れ落ちました。

三演の時の<傷>のシーンの子供の衣裳は、少年時代のビクターのグレー系の衣裳によく似た感じのものだったので、「子供」=「少年時代のビクター」と解釈することもあったのですが・・。

今期の子供の衣裳はベージュ系の色に変わっていて、そういった視覚的な印象からも、今回は「子供」=「人間の象徴」という風に解釈しています。

 

 

「くろじま~っ!」というヘジュンけむるの叫び声。

今思い返しても胸が痛みます・・。

 

 

<後悔>

 

ヨレヨレでボロボロのソンロクビクター。

歌えずに台詞調になる箇所も多々あり、憔悴ぶりが痛々しかったです・・。

 

 

<北極>

 

ビクターに撃たれた後がっくりと膝をつき、「その片足では・・」の台詞を苦しそうに話し出すヘジュンけむる。

「ビクター」と呼びかけるとソンロクビクターがはっとするのですが、次の瞬間には「これが私の復讐だ」の言葉と共にけむるは息絶えてしまうんですよね・・。

孤独を抱えたまま逝ってしまったヘジュンけむるが切なすぎました。

 

 

山頂で声を上げた後、ソンロクビクターはヘジュンけむるの元に戻ってきて、添い寝をするようにけむるの傍らに身を横たえました。

寂しく旅立ってしまったヘジュンけむるへの、せめてもの心遣いだったのでしょうか・・。

起き上がり、「帰ろう」と言いながらけむるを引っ張りますがそれも叶わず、後ろからけむるを抱きかかえてラストナンバーを歌い、ラストは絶望の表情でカっと天を仰いで暗転、という流れでした。

「愚かな人間と哀れな生命体の物語」。

めちゃめちゃ切なかったです・・。