ビクター:ユ・ジュンサン

アンリ:KAI

エレン:キム・ジウ

ジュリア:イ・ジヘ

ルンゲ:シン・ジェヒ

 

 

 

※  かなり踏み込んだ内容を記載しています。未見の方はご注意ください ※

 

 

 

五演にして10周年記念公演の「フランケンシュタイン」!

この回から連続して4公演をキャスト替わりで観て参りました!

6年ぶりの韓国フランケンシュタイン。

4公演のどれもが素晴らしく、結論として「やっぱりフランケンシュタインはイイ!」と改めて噛みしめた次第です。

 

 

まずはジュンサンビクターとカイアンリの組合せ。

ジュンサンビクターは、以前より若返ってるんじゃないの?と思えるほどの情熱の高さで魅了してくれました。

そしてカイアンリ!というか、カイけむる!!

もう、最っ高でした!!

 

 

アンリの造形は三演の時とほぼ同じ感じに思えましたが、印象が変わったのが怪物の造形。

三演のプレビューの時の「異形さ」には度肝を抜かれましたし、その後徐々にその異形さがマイルドになってきたとはいえ、役作りの根本は揺るがなかったように思います。

その役作りに納得もしたし、深く考察もできたし、作品に対する見方や考え方に新たな視点を得ることもできたのですが・・・。

ぶっちゃけ「私が観たかったカイけむるとはちょっと違うんです。ぐすん」という気持ちは拭えませんでした。

ところがですよ!!

今回は「コレ!コレなんですよ!!私が観たかったカイけむるはコレなんです!!!ありがとうございますっ!!!!!」と、テンション爆上げ状態にwww

あー、ほんっと良かったです!

ということで、レポに突入!

 

 

☆  1幕

 

<ただ一つの未来>

 

ビクター「科学は生態系を飛び越え」の歌唱に間髪入れず「あによ!」と台詞を入れるカイアンリは健在。好き♡

このナンバー、盛り上がりますよね~。大好き♡

 

 

ウェリントン将軍の「君の能力にヨーロッパの平和がかかっている」の台詞の時、甲高い声で唾を飛ばす勢いで大げさに言うのは五演のお約束っぽい感じ。

ジュンサンビクターは顔に飛んできた唾を手で拭う動作をして笑いを誘い、アンリにもウェリントン将軍の真似をして同じ台詞を言い、カイアンリも同じように唾を手で拭う動作をして・・という流れでした。

カイアンリの「質問ですか、命令ですか」の問いに対しての「ぷったぎや、ちんぐ(お願いだ、友よ)」は、「う~・・ん」と少し悩んでからの、優しい声色で肩をぎゅっと掴んでの台詞でした。

 

 

カイアンリは、眼鏡効果もあってか(?)理知的で冷静な雰囲気が素敵なんですよね~!

三演の時はもっと融通の利かない堅物な感じでしたが、今回は少し雰囲気が柔らかくなった印象でますます素敵になってました♡

<君の夢の中でrep>のラストで、暗転後に花火を見上げて笑う笑顔が眩しかったです。

 

 

<孤独な少年の物語>の後、エレンがアンリに対して「ビクターをよろしくお願いします」と頼み、それに対して「ビクターは私にとって友達以上です」と答えていく場面。

最後に「あまり気に病まないでください」と言いながら、カイアンリがジウエレンの手を両手で握ったんですよね。

三演まではそんなシーンはなかったと思うので「おおおっ!?」と驚きました。(日本版ではアンリが手を握った後その手に口づけをするシーンです)

「カイアンリ、やるな!」と思ったのですが、観劇した4公演ともすべてのアンリが同じようにエレンの手を握っていたので、そういう演出になったのだと思います。(なんだ、そうだったのか・・と、少し拍子抜けwww)

 

 

<一杯の酒に人生を盛り>

 

ビクターとアンリのハグも多く、笑顔も多く、楽しそうな雰囲気。

その後の展開を知っているだけに辛かったです~。

 

 

<君の夢の中で>

 

迷いがなく(あるのかもしれないけれど表には出さず)、毅然とした態度のカイアンリ。

両手で顔を覆って泣き崩れるジュンサンビクターとの対比が何とも切なかったです。

断頭台に上がってからの最後の「さるごしぽ~~~~~~っ!」の伸びが凄かった!

 

 

<偉大なる生命創造の歴史が始まる>

 

生首がなんだかすごくリアルに生々しくなっていたような?

ジュンサンビクターの狂気の滲み具合が、まさにマッドサイエンティストでした!

 

 

☆  2幕

 

<行方不明>

 

カイけむる登場!

カリスマがあって孤高で卓越した存在という雰囲気。

冥界から来た使徒のようでもあり、アンリと呼ばれた時の怒りの咆哮は黄泉の神獣の雰囲気も・・。

とにかく!

格好良かったです!!

 

 

<闘技場シーン>

 

ジウエバはプリキュア風のきゃぴきゃぴ系。

「男の世界」では、片手上げてウィンクしたりとか可愛かったです~。

ジュンサンジャックは、エバの姿が見えなくなると声が低くなって残忍になるスタイルでした。

 

 

<そこには>

 

カトリーヌの「話せるの?」に対して言う怪物の「頭の中から何かが・・」という台詞。

三演のカイけむるは言わなかったんですが、今回はこの台詞を台本どおりに言っていました。

ここも怪物造形変化のポイントの一つかな~と感じています。

カトリーヌに身体を拭かれてくすぐったがる時の「ぐふふふふ」と笑う笑い方が可愛い!

目が無くなっちゃうような笑顔が子供のようで、「クマがいっぱいいるよ」のカトリーヌの言葉に対しての全力の「かごしぽ~~~っ!!(行きた~~~い!)」も可愛かったです。

 

 

カトリーヌ「そこには人がいない♪」怪物「いない?」うんうんと頷くカトリーヌ。

カトリーヌ「そこには悲しみもない♪」怪物「ない?」うんうんと頷くカトリーヌ。

歌い出しからめっちゃ可愛いイジヘリーヌとカイけむる。

怪物パートに入っても、「そこには人間がいない?」と疑問形で歌うカイけむるにうんうんとずっと頷いてあげるカトリーヌの優しさが本当に尊かったです。

 

 

疑問から始まってだんだんと信じる方向に向かっていき、一曲のナンバーの中で徐々に言葉がクリアになり声色も変わっていき、なめらかに話す(歌う)ようになるカイさんの表現力が素晴らしかった!

二人でオーロラに向かって手を振るのも可愛くて切ないし、カトリーヌの真似をしてジャンプして転んでしまったカイけむるに微笑みながら手を差し伸べるカトリーヌも可愛くて切ないし、少しためらってからその手を握るカイけむるも可愛くて切ないし・・。

結論として、カイジヘの「くごせぬん」は至高でした!

 

 

<生きるということ>

 

自嘲的に笑ったり、歌の合間に「くれ!」と自分を鼓舞するように声を上げたり、細やかで説得力のある感情表現によって、より一層カトリーヌのぎりぎりの限界状態が胸に迫ってきたように思います。

終盤の切なさと気迫。

そして、絶望と希望の狭間で一縷の望みにかけるしかない極限の想い。

最後の絶唱が凄かったです・・。

 

 

<私は怪物>

 

冒頭は「諦念」といった感じの静かな歌い出し。

そしてだんだんと怒りに染まっていき、「世界で一人きりになるという絶望の中に陥れてやろう」の所は舞台後方に進んで傾斜の一番高い所で叩きつけるように歌い・・。

その後、前方に進み出て床に突っ伏して声を上げて泣くんですよね・・。

泣いて泣いて泣いて・・・。

三演の時もそうでしたが、この時背中の十字架のタトゥーが目に飛び込んでくるので、どうしてもその意味を考えずにはいられません。切ない・・。

顔を上げて「昨晩・・」と歌い出した時には涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃで・・。

心の悲鳴のように歌い上げた後、またバンっと床に突っ伏すカイけむるが切なすぎました。

 

 

<傷>

 

子供に「あんにょん」と挨拶するのは三演の時と同じ。

手を引いて湖のほとりに行き、子供を座らせた後に「僕はここ」って言って横に座るのが幼さを感じさせて(この時の一人称は「僕」っていう感じ)、この発達途中なイメージは三演の時と似た雰囲気だったように思います。

ただ、三演の時にぞくっとした「面白い話」と湖に落ちた子供への「あんにょん」は今回はなく、無辜の残虐性のイメージは薄れた印象。

子供を突き落とすのも「くろじま(そうはならないで)」の言い方も淡々とした感じでした。

 

 

<絶望><後悔>

 

ジュンサンビクターはよれよれで、人間の弱さ愚かさが具現化した感じ。

「ひ~~~」とか「う~~~」とか、甲高い呻きが印象的でした。

 

 

<北極>

 

黙々と攻撃しあう二人。

落ちている銃をどちらが先に手に取るかは、かなり真剣な奪い合い。

先に手にしたカイけむるは右手で銃を構えますが、その手は少し震えていて・・。

そして左手に持ち替えて、ビクターに銃を差し出します。

ジュンサンビクターは少しためらうけれど、大きく震える手で銃を受け取りそのまま発砲。

撃たれたカイけむるはがくっと膝をつき、そこから「その片足では・・」の台詞が始まります。

 

 

「一人になるという悲しみ」まで言った後、「ビクター」と呼びかけるカイけむる。

呼ばれると同時にガシャンと銃を取り落とし「アンリ?アンリ?」と動揺するジュンサンビクター。(このガシャンという音が切ない・・)

怪物は「これが私の復讐だ」と言った後うなだれたまま息絶え、ビクターは頂上で「あー、あー」と声を上げて孤独を実感した後に怪物の元に戻り、「アンリ、アンリ」と呼び掛けて怪物を起こそうとするけれどそれも叶わず・・・。

後ろから怪物を抱きかかえるようにして最後の「フランケンシュターイン!」を歌い上げて幕、となりました。

 

 

今回4公演を観ましたが、北極シーンは動線とか立ち位置とか立ち回りは大枠としてしっかり決まっているようで、流れ的にはすべてが同じでした。(三演が自由すぎだったと言えるかもしれません)

もちろん、アドリブとか演技の仕方とかはそれぞれ違っていましたけれど。

これから公演を重ねてどんどん変わっていくのか、このままの感じで行くのか、そこも注目していきたいところです。

 

 

ジュンサンビクターとカイアンリの組合せは、全体を通して正統派というか王道的なイメージだったように感じます。

三演のカイけむるはかなり独特というか異彩を放っていたと思いますが、今回は三演の時の雰囲気も所々に残しつつカリスマあふれる怪物に変化していて、もうとにかくめちゃめちゃ私の好みでした!

 

 

なぜ「フランケンシュタイン」って、こんなに語りたくなっちゃうんでしょうねww

今回さまざまなキャストで観ることができて、本当に幸せでした♪