J:パク・ジュニ
S:キム・ジュニョン
K:イ・ヒョンジェ
Jは除隊後精力的に活動されているチュニさん。
Sは昼公演と同じくジュニョンさん。
Kは先月初めましてで観劇したヒョンジェさん。
という組合せで観て参りました!
昼公演に続いての観劇だったので、その違いがとても面白かったです。
チュニJとジュニョンSって、残酷なまでに相手のことが理解できないんですよね・・。
お互いを想う気持ちはあるのに、徹底的にすれ違う感じ。
やりきれない気持ちになりました。
チュニJは劣等感を拗らせすぎて、卑屈さにまで到達した様相。
でもプライドは高くて繊細で、非常に面倒くさいタイプのJだと感じました。
狂気度は徐々に進行していく感じ。
最初の殺人の時には、被害者の顔を見て後ずさって尻もちをつき、酒をあおって自らを奮い立たせてから犯行に及びました。
犯行時にも泣きながら首を絞めていて、まだ良心の欠片は残っていたのかな・・と。
ことあるごとに酒の力を借りる姿が哀しかったです。
ジュニョンSは、相手役が変わっても基本的な路線は同じでした。
Jが大好きで、悔恨と怒りで憔悴していて、泣き虫さんで感情豊か。
演奏のスピードや少しの台詞や演技の違い、そして相手役とのケミでこんなに違う色合いの舞台になるんだな~と、改めて感じ入りました。
昼公演の時には言わなかった、「知らない・わからない」という意味の言葉を2ヶ所で使用していたのですが、それが「お互いをわかりあえない二人の関係性」を象徴しているように感じられ、とても印象に残りました。
ヒョンジェKは、正直に言うと前回観た時には、なんだか普通の人っぽくてあまり印象に残らなかったんですよね・・。
今回は、「音楽的な才能のないただの俗物」のイメージが強く感じられ、そんなヤツに対してチュニJが卑屈に振舞っているのが腹立たしくて仕方なかったですww
中盤、Kが少しだけピアノを演奏するシーンがあるのですが、昼公演のシアンKが素晴らしい演奏を聞かせてくれたのに対し、ヒョンジェKは「死の瞳」のモチーフをちらっと弾いただけで、その弾き方も音楽的センスの欠片も感じられなかったのが対照的でした。
ラスト、拘束されていた手を解放された時、楽譜をペーパータオルのようにして両手を拭ってポイっと捨てていったんですよね。
音楽への尊敬が微塵も感じられない「いかにもな行動」で、最後まで腹立たしかったですw
ここからは、JとSの再会シーン以降の印象に残った箇所について書き出していこうと思います。
ジュニョンSが作業室に入ってくる時にする、「やあ」という感じの片手を挙げる挨拶に対しては、チュニJは華麗にスルー。
ピリピリとした空気を漂わせていました。
Jが演奏をSに頼み、それに対してSが張りつめた雰囲気をやわらげようとしてか「トトトの歌」を弾くシーン。
チュニJは「何してんだよ!」と叫んだ後、凄い剣幕で駆け寄ってきて、「一度だけでも!真面目に!」と言いながらピアノの鍵盤をバンバンと激しく叩いて怒りをあらわにし、その勢いにはジュニョンSも少したじろいだ様子に。
怒り収まらぬまま、上手の机のところに戻ってしまったチュニJ。
なだめるように「じゃあ、何を弾けばいいんだよ」というSの問いに対してのJの返答は「君にインスピレーションをもたらす曲」。
そこにジュニョンSはこう答えたのです。
「インスピレーションとかわからないけど・・。僕の一番好きな曲!」
あ、そこ、わからないって言っちゃうんだ・・。と、何とも言えない気持ちになりました。
もちろん悪気はないし本心なんだろうけど、「わからない」という言葉を選んでしまう感覚が「何にもわかってない感」を増強させていたように思います。
Sの演奏が始まっても、なかなか椅子から立ち上がろうとしないチュニJ。
何度か促されて、ようやくSの元に向かいました。
この時のSの演奏は、ゆっくりめでどこかJの様子をうかがうような雰囲気も。
連弾に入ってからはぬくもりも少し感じましたが、すぐに現実に戻ってしまうJ。
口論に入ると、チュニJの怒りはヒートアップ。
Sの「君には確かに才能があるよ」の台詞に激昂して、ジュニョンSの胸倉をつかみ「才能!?なんの才能だよ!」と怒鳴りちらす様には鬼気迫るものがありました。
このあたりからジュニョンSは涙声になって、チュニJの迫力に押されて動揺しているように見えました。
「M13.君の存在」。
「地獄の扉を自ら造ったんだ」の歌い終わりでは、下手のピアノに右手をつき、Sに背を向けるようにしてうなだれていたチュニJ。
ジュニョンSは数メートル離れたところにいたのですが、近寄ることもできず声をかけることもできず立ちつくすのみ・・。
ここの「間」が本当に長かったです。
かけるべき言葉を探そうとするけれど、まったくそれが浮かんでこないとでもいうように。
長い長い逡巡の後、ジュニョンSがチュニJに語りかけた言葉は・・。
「知らなかった・・・僕が全部悪かったよ・・・だから・・行こう」でした。
「知らなかった」
確かにそうです。それが事実です。
でも、なんだかすごく残酷な言葉に聞こえました。
ジュニョンSもチュニJも、結局お互いのことを知らなかったしわかっていなかった・・。
決定的な真実が明らかにされたようで、とても胸が苦しくなりました。
「M14.君は僕の音楽」で、Jが<君と僕>の演奏をする回想シーン。
椅子に深く腰掛け楽譜を手にし、Jの演奏を瞳を閉じて聞き入っているジュニョンS。
目を開けて「いいね!僕が口ずさんでたの?どんな風になるのか本当に楽しみだな」と朗らかに言いながらJの傍らに寄って行き、耳元で「完成したら僕に最初に見せてくれよ、ん?」って楽譜を渡しながら囁くように言いました。
そして<君と僕>のフレーズをハミングしながら、満足そうに部屋を出ていきました。
チュニJは楽譜を渡された時、ひどくうろたえた様子になり、部屋を出ていこうとするジュニョンSのことを楽譜を持って追いかけました。
しかし、ジュニョンSには追いつけず、目前でドアは閉められ・・。
閉ざされたドアにすがりつくようにして泣き崩れたチュニJの姿がとても痛々しかったです。
この時のチュニJは、すでに「Sが口ずさんだフレーズから作曲した曲は自分が書いた曲ではない。盗んだも同然だ」と思っているんですよね。
だから、渡された楽譜をSに返そうとして、それが出来ずに泣き崩れた・・。
切なかったです・・。
「M16.狂炎ソナタ」。
第1楽章から第4楽章までの楽譜、一つ一つに口づけをしてから床に置き、自らは下手の机の上に乗り、そこでしゃがみこんで楽譜を眺めながら歌っていました。
狂気ここに極まれり、という感じ。
「色あせないように」のメロディになってからは、突き抜けたような明るさでステップを踏んだり、兵隊さんの行進のように歩いたり・・。
狂気に完全に支配されたのか、それとも吹っ切れて少年時代に戻ったのか。
いまだにどう解釈して良いのかわかっていないのですが、なんだかもう、切ないというよりやりきれない想いでいっぱいでした。
SとKの対話シーン。
怒りに震えたジュニョンSがピアノをバーンと叩いた時にカシャーンと音がして、「何かが落ちたな」とは思ったのですが、それが何かまではわかりませんでした。
しかし、その後のシーンでそれが明らかに。
Sのポケットに入っていたナイフだったんです。
SがナイフをKに突きつける場面があるのですが、ジュニョンSはポケットをまさぐった後ナイフがないことに気づいたのか、咄嗟に机上のペン立てからペンを抜き取ってその切っ先をKの首元に突きつけていました。
この手のトラブルは舞台にはつきものですが、皆さん本当に瞬発力が高いというか、上手く対処されますよね~。
本来はKを後ろ手に縛ったロープをSがナイフで切って解放するのですが、それもきちんと手でほどいて解放していました。
機転の利いた回収、お見事でした!
「M17.死の顔rep」。
ピアノの前にへたりこんでしまったジュニョンS。
Jの日記に語りかけるようにして歌い始めました。
その後、両手で包むように日記を持ち、祈りを捧げるような形で歌い継ぎ・・。
「ミステリオーソ」の歌詞のところからは、はらはらと涙を流しながら歌っていました。
昼公演であれだけ泣いたのに、よくまた泣けるものですよね。
俳優さんってスゴイ!
昼公演では顔をぐしゃぐしゃにして泣く感じでしたが、夜公演でははらはらと泣いていて泣き顔がとても美しかったです。
チュニJは、机の前に座ると穏やかな様子で楽譜を書いていました。
Sの元に歩み寄った後、一度その楽譜をぎゅっと胸に抱いてから差し出すチュニJ。
ジュニョンSはJに気づいた後もずっと固い表情のままだったのですが、Jが差し出した楽譜に手を伸ばし、暗転直前になってようやく微笑みを顔に浮かべました。
ラストまで、切なさとやるせなさがないまぜとなったような舞台でした・・。
カテコは笑いを取るのが、最近の流行りなんでしょうか??
捌ける順番は、通常ならK→S→Jなのですが、捌けようとするヒョンジェさんをチュニさんが阻止。
そして一番先に捌けてしまいましたww
残されたジュニョンさんとヒョンジェさんでしたが、とまどっているヒョンジェさんをジュニョンさんがナイフで刺し(←おいww)、先に退場。
一人残されたヒョンジェさんが深々と一礼し、会場は盛大な拍手、という流れでした。
観ていた時は「ヒョンジェさんの誕生日とか何かの記念日なのかな?」と思っていたのですが、別にそういうわけでもなかったようですww
自由すぎますよねwwwwww
今回観劇した2公演、本当に心にぐっとくる素晴らしい公演でした♪
狂炎ソナタ、やっぱり面白いです!!