J:ヒョン・ソクジュン

S:キム・ジュニョン

K:イ・ヒョンジェ

 

 

終演後、なんだか圧倒されてしまって呆然としてしまいました・・。

まずは、全然可哀想じゃないソクジュンJが衝撃的。

狂気度猟奇度が高く、衝動性や凶暴性もあって目が離せない感じ。

今まで「狂炎ソナタ」っていう邦題が気に入らなかったんですよね。

もうちょっといい訳ないの?って。

でも、今回のソクジュンJはまさに「狂」炎ソナタという造形だったように思います。

 

 

自室での最初の殺人の時から高笑いしてるヤバイ奴。

また、演出として被害者の苦しそうな息遣いなどが生々しく聞こえてくるので、殺害行為がとても残忍で猟奇的に見えました。

Kに唆された後の殺人では、刺したナイフを指揮棒にして恍惚として指揮してました。

・・・・。

これ、相当ヤバイ奴じゃないですか?

箱を開けてバラバラにした死体の一部ににこやかに話しかけちゃったり、目が据わっちゃって突如暴力的になったり、異常性が高すぎ。

こんなにヤバイ奴なのに、一心に気に掛けているSが可哀想に思えてなりませんでした。

 

 

全体的に狂気狂気していたソクジュンJだけれど、「M12.色あせないように」の途中から少し正気を取り戻したように見え・・。

Sのグリッサンドの直前に明るく「かじゃ!(行こう!)」と声をかけ、その瞬間からの連弾の間だけは溌剌とした空気に包まれていました。

その一瞬だけだったからこそなおさら切なく、昔日の穏やかな幻のようでした・・。

 

 

全然可哀想じゃなかったソクジュンJに対して、冒頭から悔恨と怒りで身の置き所のないような焦燥感を漂わすジュニョンSは、可哀想で可哀想でひたすら可哀想でした。

最初っから涙ぐんでるし、苦しんでるし、Jを見つめる眼差しは切ないし、Kに向ける怒りの眼差しも切ないし、すべてが切なかったです。

Jの日記を読む時にも、感情が高ぶっちゃって声が震えちゃったり、あまりに痛々しくて見ていられなかったです。ぐすん。

 

 

あまりにもソクジュンJがヤバイ奴だったので、なぜジュニョンSはこれほどまでにJを大切に思っているのだろうと理解に苦しむほどだったのですが・・。

きっと昔はいい友達だったんでしょうね。

うん、それ以外には考えられないです。

ソクジュンJは、Sと一緒にいた頃から少しずつ心が壊れていき、グロリア・アルティスが壊滅的なダメージを与えたのではないか、そんな風に感じました。

JがSの元を離れた時には、すでに「狂気」は確実にソクジュンJの中に巣くっていたのではないでしょうか。

 

 

SがJに電話で呼び出された時、ダダダダダ~っとすごい勢いで走ってくる足音が聞こえてきたのですが、その後シーンと静寂な状態が続きました。

その後、そ~っとドアを開けて顔を覗かせてからジュニョンSは部屋に入ってきました。

一刻も早くJの顔が見たくて駆け付けたけど、ドアを開ける前に息を整えて耳をすませて様子をうかがっていたんでしょうね。

ドアの向こうで姿が見えないのに、そんな様子が目に浮かぶような絶妙な間合いでした~。

 

 

「M13.君の存在」でJから激しく気持ちをぶつけられた時、ジュニョンSは「わかった。わかったよ。わかったからここを出て一緒に行こう」って涙ながらに言っていました。

すごく切なかったです。

この場面、演じる俳優さんによって(もしかしたら回によってということもあるかも)台詞が違うのだそうです。

そんな事を聞くと、すべての俳優さんで観たくなってしまって困りますねww

 

 

ジュニョンSは、なんとかJに自分の気持ちを伝えようとするけれどそれを言葉に紡ぐことができなくて、「あー」とか「おー」とか「んっ」とか、台詞ではない呻きのような発語が随所にあって、それがとても切なかったです。

言葉以外にも、両手を広げてアピールするような所作とか、片手を差し伸べる所作とか、身体全体でやり切れなさに胸が押しつぶされそうな想いを熱く激しく表現していて、感情をまっすぐにぶつけようとするその感じがたまりませんでした。

すれ違うもどかしさに頭を抱える姿も、衝撃で立ち上がることさえできずにくずおれる姿も、全てが切なすぎました。

 

 

「M17.死の顔rep」でもめっちゃ泣いていて・・。

そんなに泣かれたらこっちも泣くしかないですよね!

熱くて激しくて涙もろいジュニョンSに、すっかり心を奪われてしまいました。

 

 

全然可哀想じゃないソクジュンJと可哀想すぎるジュニョンS。

こういうテイストの組合せは初めてだったので、かなり衝撃を受けました。

強いインパクトを残してくれた公演でした~!