〇大正8年全生庵発行。これは昭和38年に復刻されたもので〇す。大正8年当時には山岡にかかわった人たちも多数存命の時期で貴重な文献です。

 

〇現代口語文に近い形になおしました。

〇鉄舟本の多くが引用している部分がありますがそのまま載

せます。

 

●書家土肥樵石氏、ある事件に付き居士の世話になり、一日居士を訪れ、今日は先般の御礼を申すべきだが、御礼は申さぬ。そのかわり先生に書論を試みようと思うがいかがですという。

 

●居士はソハ面白い大いにやりましょうといわれた。そこで樵石氏拙者の字は一画三折の法を以て書きますが、先生は何の法をもってせらるるやと問う。居士は一画三折り法それも結構でしょう。しかし、予はあなたと少し違う。

 

●予は無法を以て書くと答えられた。が、樵石氏は呆然としてその意を理解できないようであった。そのため居士はたとえ話をした。ここに二人の大工がいて、一人は墨壺を使わなければ仕事をしない。もう一人は墨壺もなんにもなしで、サッサと仕事をするとすれば、あなたは二人を比較してどちらを勝れるとしますか。

 

●すると樵石氏ハハァなるほど、コハ御高論です。敬服‣敬服という。居士さらに問いを発し、字は全体筆で書くものか心で書くものかといわれた。樵石氏沈思しばらくして、イヤ拙者はまだその辺の研究をしていません。いずれ篤と研究して重ねてお伺い申さんといい、早々に帰っていった。

 

●後で居士に居合わせた千葉立造に、今少し手ごわいかと思ったら案外もろかった。実はあれから樵石氏が筆で書くといえばすぐに、字の書けぬ車夫を軒先に呼んで書かせて見せ、しかして、その筆をばひそかに取り上げて置き、ついで心で書くといはば、樵石氏の前に紙を展べ、サア心で書いてみよとやるつもりであった。ここまで追い詰めて彼を済度しようと思ったのに惜しいことをしたといわれた。

 

〇土肥樵石 旧隈本藩士。華族女学校書道教師。

 

〇鉄舟は書道に執心し太子流の書法を継承している。ここでも書論から禅問答に誘導して相手には逃げられた形になっている。

 

◎岸田内閣に思うこと。なにごともカスミのようで実態がわからない。いいたいことはたくさんある。

・新しい資本主義とはなにか、いまだにわからない。

・所得倍増が金融資産倍増に変質した。

・安倍さんの集めた改憲勢力は一度も動かず改憲は口だけ。

 

〇誠実さがない。自分の利益が優先している。習近平が虎退治と称して反対勢力を退治したのと同じやりかた。それにしても自分の総裁選挙を支えた安倍派の消滅を推進しているのだからマキャベリストの見本のような冷血さ。

 

〇私は今の自民党は三木内閣と似ているように思います。田中内閣の退陣で総理大臣が転がり込んだ三木氏は田中逮捕に執心し、党内の支持を失い解散もできず退陣した。岸田氏は党内の支持は低いのに岸田おろしが起こらない。おまけに六月に解散を狙っているらしい。これができれば、日本はますます悪くなるように思う。小選挙区制になって派閥の力が弱くなり、総理官邸に権力が集中する制度に変質したためかと思う。

 

〇岸田さんは裏金の処分の対象外だと揚言しているが、ひどい話だ。会計責任者が逮捕されて派閥の会長の岸田さんは無事ですむのか、直前に派閥の会長を辞めたからセーフみたいなのはだめだ。政治的責任を背負ってほしい。

 

〇岸田さんは自分の方針や理念がないといわれている。だから自分の利益になること、不利益になることで判断しているようだ相手が強く推してくると押した方に開くから、北朝鮮の拉致問題や訪米での首脳会談で、無理難題を飲み込まされてくるのではないかと心配している。

 

〇火の玉になって取り組むと意気込んでいても、火の玉になったのは党の内部で自分は離れて燃えるのを眺めているとしか思えない。

 

〇せっかく集めた議席も次の総選挙で崩壊するのだろうが、岸田政権の退陣を望む者にとっては早く解散してほしいと思っている。