〇大正8年全生庵発行。これは昭和38年に復刻されたもので〇す。大正8年当時には山岡にかかわった人たちも多数存命の時期で貴重な文献です。

 

〇現代口語文に近い形になおしました。

〇鉄舟本の多くが引用している部分がありますがそのまま載

せます。

 

●ある時一士人が居士を訪れ、先生について禅を行ってみたく思いますという。居士はあなたは何の目的で禅をやろうと思いますかと聞かれた。士人拙者は洒々落々円転滑脱の境涯を得たく思いますという。居士は予の禅は士人が行えば士道となり、商人が行えば商法となる。

 

●あなたの目的のごときは幇間露八の禅に参じたらよいでしょうといわれたので、士人は顔を赤らめて辞し去ったということだ。

 

〇のんびりと遊び暮らすような禅は存在しないのだから、お前は幇間の露八にでも弟子入りしたらどうかとからかったようです。

 

〇松廼屋露八は元旗本土居庄次郎。彰義隊の生き残り。維新の後は幇間になって余生を過ごす。榎本武揚は露八の旧知でした。榎本は露八に余生を過ごすくらいの援助はしてやる。というのですが、露八はそれを断り、一生を遊芸の中で過ごしました。上野の戦争で自分の一生は終わったと諦観したようです。

 

〇このブログもいつのまにか千回を越えました。仕事を退職したらなにか歴史の書き物でもしてみたいと思って始めました。はるばると来つるものかわと思いました。体の続くまでは続けようと思います。

 

〇吉川英治の小説で露八の題のついた小説があります。