●先月ピーチエアーに乗って大阪に行ってきました。第三ターミナルの発着で第一ターミナルまで遠いのでその分安くなるのだなと納得しました。

 

●最近は大阪に行くと天満へまず最初に行くようになりました。天神橋筋3丁目の矢野書店、天牛書店へ行って、ついでに飲み食いするためです。

 

●天牛書店は店前にワゴンの均一本が置いてあります。なかなかの掘り出し物が見つけられるところです。今回はワゴンの中から買った2冊の本を紹介します。

 

●昭和47年21版 日本列島改造論 100円

 

●ひと時代を象徴する本です。私は当時高校生でしたので中身の具体的内容は知りませんでした。手に入れたのは昭和60年代で古書店で買ったことがあります。それもいつの間にか

売り払ってしまったようです。

 

●それいらい40年ぶりのご対面。「おなつかしゅう」パラパラと呼んでみると当時は地価高騰で批判されたのですが、本書の中の構想は現在ほぼ完成されています。

 

●新幹線や高速道路網の拡大。それに伴い地方の中核工業都市の開発など、田中さんが構想し官僚が実際に肉付けして執筆したものだけれど、国家観や長期の経済構想のない現在の内閣では遠く及びません。

 

●裏日本などと呼ばれていた日本海側の県に光を当てて、豪雪地帯の雪を災害に認定する法律を田中さんは作った一人ですから、新潟県の人たちは田中さんを支持したのであって利益誘導だけをうんぬんするのは間違えです。東京や大阪のような大都市に住む人たちはたくさんの利益を享受しているのでこの気持ちはわかりません。

東京電力の原発が福島や新潟にあるのも同じ理屈です。

 

●昔はよかったとグチるところですが、このころは値上げラッシュで今と似ていますが、インフレでしたので給料や特別の手当てなどが出て一億総中流といわれるようになっていました。

 

●当時ロシアの大統領が来て、日本の生活を実見して「日本は社会主義の見本になる」などといったことがあります。

高校の授業で「インフレーションと反対にデフレーションという経済状態がある。と習ったのを思い出しますが、まさかデフレが30年続くとは当時生きていた人は誰も思わないでしょう。物は値上がりするものだという信仰に似た感覚でした。

 

●田中さんならどんな政策でこの難局を切り抜けただろうと思うことがあります。高速道路を有料化して財源を作ったり、日米繊維交渉の時は宮沢通産大臣が交渉立ち往生したのを受けて、繊維会社の織機を廃棄させて補助金を出すという荒業を提示しました。トリガー条項一つを決められない政治家とは大違いです。

 

●この本がこんなに安いのは理由があります。日本工業新聞社は今年復刻本を出したそうです。復刻本で困るのは古書店です。出てなければ千円以上しただろうと思う本です。

 

●雑誌記者池島新平 文春文庫50円

 

●池島新平も世の中に忘れ去られたんだなと思う一冊。池島は戦前菊池寛社長の時代に入社。戦後の復興を果たした人です。先日亡くなられた半藤一利さんの前の世代の人です。

 

●私にはとりわけなじみのある人で、歴史よもやま話4冊の鼎談本の著者です。高校のころ読んで歴史の知識を得ました。最近4冊をヤフーオークションで落札して読み直しています。

 

●昭和40年前後にNHKなどで放送した鼎談を採録したものです。当時の一流の専門家が出ています。大正から当時まで実体験した方々ですから、現在の研究者とは見方が異なります。

 

●たとえば「毛沢東」では京都大学の貝塚茂樹、研究者の竹内実、シナの新聞に携わっていた高木健夫です池島新平自身も東大の西洋史学科の卒業で研究者を志望していました。

 

〇昔読んだ本を読み返すのは面白いものです。ヤフーオークションで検索するとたいていの本が見つけられます。問題は価格と本の状態です。