○坊城俊良著 宮中五十年 明徳出版 昭和35年刊

○坊城俊良1893-1966 幼少にして侍従職出仕以来、宮内官として皇室に奉仕した。旧伯爵。

○明治天皇1852-1912

 

●刀剣類もお好きで、ときどき私たちに命じて、おとりよせになり一人で御覧になっていた。軍刀に仕込んで愛用されるものもあった。四十二、三年以降の御晩年には、ご病気(糖尿病)のこともあってお菓子も甘くないものを召し上がっていた。

 

●御生涯を通じて、非常に辛抱強く、質素に徹底しておられた。このような御性格の一面として、医者がお嫌いで、よほどのことがないとお診せにならなかった。

 

●表の御学問所の公務では、どんな無理も黙ってお勤めになり、そして、奥向きのことでは万事質素本意であったということは、まことに深い大御心であったことはいうまでもないが,矢張り御無理ではなかったかと思う。

 

●その頃、日本にも自動車が来ていたが、明治天皇はついに一度もお用いにならず、お出かけの時に馬車だけであった。

 

○明治天皇が医者嫌いでなく、がまん強くなかったら、陛下の御寿命も、もっと伸びていたろうと推測されます。