石井研堂 1865-1943
〇明治の雑誌編集者「小国民」は明治20年代の少年向け人気雑誌。明治文化研究会を設立し明治文化全集を出版する。
〇石井は明治が終わり、明治の記憶が薄れないうちにと、資料の収集を始め、彼の死後1944年に「明治事物起源」という明治の事だけを集めた辞典を出版しました。
〇昭和59年日本評論社より復刻された1500ページの中からおもしろいものを紹介していきます。
〇分かりにくい旧仮名遣いの一部、候文などを現代口語に直しました。
●石井研堂 明治事物起源 ものはづくし 明治十三年 開智新聞①
●一日も急ぎたいものは 皇居造営と国会開設
〇皇居焼失の後 民権議院設立の建白書
●待たるるものは 条約改正と花の盛り
〇条約改正は国民の悲願
●盛んなるものは 演説会と抵当金の貸借
〇抵当金の貸借分かりません
●跡をたちしものは 賞金と篤志家
〇金貨は消えて篤志家もいない不景気
●益々増える 紙幣と輸入品
〇金貨流失の原因
●無くなってよさそうな 内閣の文部と文部省
〇義務教育は無駄
●気楽な 農家と華族の隠居
〇米さえ作っていれば何とかなる
●安い 銀納と等外吏の月給
〇等外吏は臨時雇いのような公務員
●便利な 人力車と郵便
〇江戸の飛脚便は高く、金持ちの商人や武家しか使えません。
●高い 物価と新聞記者の鼻
〇新聞屋の鼻 ここでは新聞記者をいいます。明治は大新聞と小新聞がありました。大新聞は政治や論評を中心としたもので、インテリが読みました。
〇小新聞は芸能やゴシップが多く、新聞記者は「はおりゴロ」といわれ取材しては金をせびる「悪く書いて欲しくなかったら、金を出せ」ということが多く不良新聞を赤新聞といいました。
〇黒岩涙香の「万朝報」(よろず ちょうほう)は、下田歌子と政治家のゴシップを集中して掲載し攻撃しました。