第3章 ある夜のこと、私があの人の体に中に入っていた話
デパートで働いていた私が初めて瞑想を体験してから、
瞑想を続けたり、毎晩謎の音に悩まされている期間、実は仕事が変わっていました。
1年半デパートで働いていましたが、腰を痛めてしまったことと、独身の叔父が余命3か月のガンになり佐賀の実家で叔父と祖父の世話を手伝って欲しいと母から頼まれたこともありデパートの仕事を辞め、しばらく実家で手伝いをしながらアルバイトをしていました。
その1年後に叔父が亡くなり、そろそろ仕事も本格的に再開しないといけないと思っていたところ、母の友人からの紹介で私は福岡の病院に勤めることになったのです。
何も医療系の資格や経験もありませんでしたが、看護助手として総合病院の中の内科の受付でカルテ出しや整理、患者さんの案内などの仕事を始めました。
病院という特殊な職場と独特の雰囲気ではありましたが、周りの看護助手の先輩や看護師・ドクターも良い人たちで仕事もしっかりと教えてもらい慣れることができました。
瞑想を続けていたので以前よりも感覚が鋭くなっていたのか、病気の患者さんたちの持つ独特のエネルギーなどを感じることもあり、それで自分の体が重くなったりきつくなることもありましたが、休みの日はなるべく一人で自然の中に出かけて瞑想をすることでなんとか仕事の疲れを癒すことができていました。
仕事の日は帰っても疲れていて瞑想をしない日もありましたが、それでもこの頃は瞑想が習慣になっていて、寝る前に瞑想をしてから眠ることが多かったです。
そんなある日、その衝撃の体験は突然起こりました。
いつものように、私はベッドに入り部屋を真っ暗にして寝る前の瞑想の準備をしました。
そして呼吸をしながら目を閉じて、いつものように呼吸に意識を向けたその瞬間私の意識が、ほかの人の体の中にあったのです!!
突如意識だけがワープしたみたいに。
私はその人の体の中に意識だけがあるので、その体の持ち主は全く見えません。
けれど、その体の持ち主がだれかということがなぜか一瞬ではっきりと分かったのです!
なんと私が体の中に入ってしまったその体の持ち主は、職場の病院で一番嫌いだった看護師のTさんでした。
Tさんは私のいる外来の看護師では無く、病棟の看護師でした。私は内科外来の患者さんが入院したり、退院したり、手術をしたりした時にカルテやレントゲンなどをやり取りするため、しょっちゅう病棟と行き来をして病棟の看護師さんたちともやり取りをしていました。
ほとんどみんな優しい看護師さんばかりだったのですが、唯一そのTさんだけは、すごく怖くて意地悪でした。
口調がいつも厳しく、「そんな細かいことどうでもいいのに!」と思うようなことでいろいろ注意されたり、いつもセカセカしていて、上から目線で、性格悪いなーと感じることも多く、本当にその病院の中で唯一たった一人の嫌いな人。なるべく病棟に行ってもTさんを避けていました。
それなのに・・・なぜよりによって、Tさんの体の中に私の意識が入ってしまったんでしょうか??
しかもその時Tさんは、なんと・・・男性と〇〇〇をしている最中だったのです!!
その男性の姿も見えはしないのですが、はっきりとTさんと男性がその行為をしていることが分かりました。
「一体これはなんなんだ~!!」
とパニックになりそうな気持を抑え、なぜか「絶対にTさんに見つかりたくない!!」という気持ちで(きっと見つけようもないとは思うのですが)息をひそめて??Tさんの体の中でじっとしていました。
しばらくするとまた突然、いつもの私のベッドの上で座って瞑想をしている元の自分に意識が戻ったのです。
きっと時間にしたらほんの数秒だったのでしょうが、私には本当に長い時間に感じられました。
「なんなんだ~、この体験は???」
いつもの自分に戻って来ても、もう衝撃すぎて何がなんだか分かりません。
それまでそんな経験を聞いたことも読んだことも一度もなかったし、誰かに話したところで絶対に信じられないだろう、そう思いました。
そして、本当に、心の底から、「なんでTさんなんだ~!!」
と思いました。なんでよりによってTさんで、しかもTさんが男性と〇〇〇している最中に!!
しばらく放心状態のような、もう頭も心も???だらけで、その日はほとんど眠れませんでした。
頭の中をそのことが一晩中ぐるぐるしながら朝を迎え、私は病院に出勤しました。
なんとかいつも通りに仕事をし、午後病棟へカルテやレントゲンを持って行くとそこにTさんがいました。
Tさんの顔を見た瞬間、私は心臓が飛び出すんじゃないかと思うくらいドキドキしました。
Tさんの体の中に私が入ってしまったことなど絶対にTさんには分からないでしょうが、全く自分の意志では無いものの、Tさんの男性との行為をのぞき見してしまったような気持ちもあり、なんだか後ろめたいような気もするのです。
もちろん、「昨日男性と〇〇〇してましたよね?」なんて聞けるわけもなく(聞いてたら頭がおかしいと思われるでしょう)もう腑に落ちなさすぎる、モヤモヤしたままのなんとも言えない複雑な心境でした。
けれど昨夜の衝撃体験からTさんに会って私が感じたのは、Tさんもやっぱりひとりのの人間でひとりの女性なんだなーと言うことでした。
仕事ではあんなに強がっているけど、好きな人の前では弱くなったり優しくなったりするのかなーとか。
何故か分かりませんが、その時あんなに病院で一番嫌いだったTさんのことがなぜか前ほど嫌でなくなっていたのです。
それは説明のつかない感情ですが、なんだかTさんと私の距離が近くなったような、以前のようにTさんを私とは全く違う人種のような人という気持ちが無くなっていたのです。
そして本当に不思議ですが、その日を境に何故かTさんの私に対する態度が以前より優しくなったように感じるようになりました。Tさんが私に以前は見せたことも無かった笑顔も見せてくれるように変わったんです。
それからしばらくして、一緒に住んでいた私の祖父が家で骨折し、勤めていたこの病院に救急車で運んでもらい、このTさんのいる病棟に入院することになりました。その時にTさんは私の祖父、そして仕事の合間に祖父を見舞っていた私にもいろいろ気遣ってくれて、本当にお世話になりました。以前あんなに嫌っていたことが、本当に申し訳無かったと思う程、Tさんは私たち家族を親身になって助けてくれたのです。だんだん祖父の体調が悪くなり、その病棟で祖父の最後を看取った時も、一緒にTさんも悲しんでくれたのです。
私のTさんへの気持ちを変えてくれた、あの人生の中でも1番くらいの衝撃的な不思議な出来事は何だったのか??今でも分かりませんがその出来事をきっかけにあんなに嫌いだったTさんのことが嫌ではなくなった事を考えると、誰かか何かが私に与えてくれて経験だったのかなと思います。
ここで、第3章の衝撃体験のお話は終わりにしたいのですが、実は後日談があります。
このTさんの体に入りこんでしまった日から数ヶ月が経ったある晩、眠ろうと布団で目を閉じた私の体の中に突然、男性が入り込んでくる!というTさんの時とは逆の体験をしました。
その時は、私はたしかに誰か分からない男性が私の体の中に入って来て、
「もうこれ以上俺を否定するなー!!」とその男性の心の叫び声が聞こえたのです。
それもほんのわずかな時間の出来事でしたが、私はドキドキするのと同時に、
「私がTさんの体に入ったんだから、誰かが私の体に入ることだってあるよね」と変に納得したのでした。
それからは、誰かの体に入ることも、誰かが私の体に入ってくることも、二度とありませんでした。
本当に、あれは何だったんでしょう??
そして相変わらず仕事が休みの日は山などへ出かけて瞑想をする私は、ついに山で自分の分身が出現する?というまたまた不可思議な体験をすることになります。
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「第4章 ついに私の分身が現れた!!山で起こった数奇な出来事」
今日も読んでいただき、本当にありがとうございました![]()
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