ウパニシャッド瞑想のベースは、身(ボディ)、心(マインド)そして真我(プルシャ)の「安定」です。これはヨーガスートラの場合にも同じことが言えます。

 

 瞑想をするときは、ほとんどの場合坐って行ないますが、初心者の方々は日々のアーサナの練習を通して、この「安定」を身につけるといいと思います。ヨガ教室に行きますと、まずアーサナの練習から始めます。最初は難しいと思っても、先生の指導に沿って丁寧に練習してゆけば、徐々に上手くなってゆくでしょう。でも「上手くなったね」と言われてアジャストされなくなった頃が、本当のスタートラインなのです。


 20代の頃、家の近くで習字を学んでいました。何度も朱筆で直されながら、形が整ってきた頃のことです。以前より懇意にしていたある書道の大家から「最初の練習は自宅近くの教室で充分です。上手い字が書けるようになったら、いい字を書けるようにお教えしましょう」と言われました。

 

 先生によりますと、お習字では字形を学びますが、書道では、空間にいかに字を安定させるか、書にどれだけ心や魂を込められるか、が大事だそうです。

 

 まず前者ですが、これは「白い部分をどう残すか」です。お習字なら墨の乗せ方を気にしますが、書道では、白と黒のバランスが大事なのだそうです。

 

 次に後者ですが、これは漢詩なら漢詩の意味、作者の生涯などを学ぶことで、詩人の魂に触れなければなりません。字は整っているけど、意味がわからないとか、書かれた頃の時代背景を知らないというのでは、駄目だそうです。歴史から勉強した方がいいと言われました。