偉大な先賢たちの説く「サマディのための瞑想」とはどのようなものなのでしょうか。


 ウパニシャッドの瞑想つまりジニャーナ・ヨーガとは、師の傍らに坐り、師のまとったサマディの気質と同一化する瞑想です。従って一人で行なうものではありません。実際にやってみますと、普通ではありえないようなヨーガ体験が度々起こります。初めての方はかなり驚かれることでしょう。


 たとえば、最初に起こるのが「場の変化」です。

 自分を取り巻く大気が波立ってきたり、空間が歪んできたり、その空間が螺旋状に大きく回転し始めたり、多くの方は「一体何が始まったんだろう?」と思うようです。これは師のプラーナーヤーマで外的な五気が大きく動いた結果です。五気には、生気系と光輝系がありますが、最初は生気系だけ、次に生気系と光輝系の両方、そして光輝系だけという具合に動かしてゆきます。(慣れれば最初から光輝系だけになります)


 「場の変化」の次は、「皮膚脱落」です。

 この「皮膚脱落」は禅でよく使われる言葉ですが、出典は大乗涅槃経です。

皮膚は、言うまでもなく、肉体の内と外を分かつ「境」です。ですから皮膚脱落とは、その境がなくなることを意味します。

 

 技術的には、自分が生きていることを深く実感し、ラーマナ・マハーリシの言うように、ただそれを見守っているだけなのですが、ある瞬間から突然「境」がなくなってゆきます。

 

 先の「場の変化」もそうですが、ジニャーナ・ヨーガの瞑想は、新たな気付きと驚きの連続です。それがウパニシャッドの瞑想なのです。マントラも観想も何もない、静寂と沈黙の世界です。