偉大な先賢たちの説く「サマディのための瞑想」とはどのようなものなのでしょうか。


 ヨーガスートラでは、心の作用の止滅と純粋観照者の出現を経て真我独存を目指します。そしてそこを新たなスタート地点として、今度はウパニシャッドの世界にすすみ、真我の離脱、無との合一、融合(消融)へと、より深い瞑想の境地を体験してゆきます。

 

 ですからヨーガスートラのレベルは、全体から見ると初期の準備段階に過ぎないのです。人生は短いですから、もし真我独存までで時間をとられますと、とても最終ゴール(融合)までは到達できないでしょう。焦ることはありませんが、詳細まで煮詰めた工程表を作り、ひとつひとつきちんと仕上げてゆく必要があります。


 そこで最初にクリアすべき課題は、「心の作用の止滅」と「純粋観照」です。これはヨーガスートラ第1章の冒頭に出てくるものですが、そこに至る技術的なメニューは下記のようになります。


 Step-1.身の脱落~空間に融けてゆく
①数息観~想念の方向付け、②脱力~身体の緊張を解く、③リラックス~骨格の内観、④意識の解放~集中の解除、⑤生命の実感~体温・血流・呼吸・細胞の賦活、⑥随息観~自然な呼吸を見守る、⑦皮膚脱落~内外の境がなくなる、
 Step-2.心の作用の段階的な減少
①観察から観照へ、②周囲の空間との融合&その余韻に浸る
 Step-3.身の脱落の完成
①肉体感覚の消失、②判然とした意識と観照
 Step-4.心の脱落~心の作用の止滅
①フィールド(識)上での認識力を静止させる、②「止」へのプロセス
 Step-5.純粋観照者の出現~真我を観る
①    「止観」の成就、②真我を純粋観照する
 Step-6.身心脱落から真我の独存へ