ところで、禅でも、老師の指導は一対一の対機説法が基本です。

 禅には「鑑機三昧」という禅定(サマディ)があります。これは指導を行なう際に「あらかじめ相手の機根・能力を観察する為に入る禅定」です。

 つまり老師は、まず鑑機三昧に入り、相手の真我(仏性)の状態を調べ、それに即した対応を採るわけです。これはウパニシャッドに於けるグルとほとんど同じやり方だといえます。


 自分の真我は、心の作用の止滅後にアートマンそれ自体の「顧る働き」によって観照できますが、他人の真我は、「鑑機三昧」というサマディに入らないと観照できません。従って自他の「真我を観る」ことが出来て初めて、顕教ヨーガの指導者になれるわけです。