先日Spiritという映画を見ていましたら、武道の流派の優劣について語られていました。
 

「あらゆる武術に優劣高低はありません。

使うものの技量の差だけです。
試合を通して、己の真の姿に向き合う。

本当の敵は恐らく自分自身なのです。」
 

この映画は、実在した伝説の武闘家、霍元甲を主人公にした作品です。
欧米列強の植民地と化した当時の上海で1910年に開催された史上初?の異種格闘技会を舞台に

様々な人間模様を描いています。
 

主演のリー・リンチェイ(李連杰/ジェットリー)は、1982年のデビュー作「少林寺」以来数多くの作品に出演していますが、私が観た中ではこの作品が一番好きです。
 

まじめに取り組めば、その流派の道筋に従って山頂近くまで到達するはずなのですが、実際に登頂できるかどうかは、本人の力量にかかっています。まさに「使うものの技量」如何なのです。
 

前述の会話は、リー・リンチェイ演ずる霍元甲と最後に戦う日本人の武道家(中村獅童)との間で交わされたものですが、最初は「茶」の話から始まります。
 

茶の品位に優劣があるかという問いに対して、リー・リンチェイは

「同じ自然の中で育つものに優劣はないのです」
「思うに、茶の優劣は茶自体が語るものではなく、人間が決め各人の好みに左右されます」
と、応えます。
 

人は常に優劣を決めたがる生き物なのかもしれません。
そして自分で決めたその物差しに囚われて、本来の姿を見失いかねません。