人間は太古の昔から世界各地で階級制を採ってきましたが、多くの場合それは強権的な弾圧を伴うものでした。下層階級は圧倒的な力によって押さえつけられ服従を余儀なくされました。

ですから何かの切っ掛けでその不満が爆発し小規模な暴動から革命へと移行することになります。

 

しかしながらインドを制したアーリア人は、土着の信仰を上手に取り入れながらも、全く新しいシステムを生み出しました。平和的に階級社会を維持し、革命の芽すら生ませないこの新たな試みは、時代によって形を変えつつも現代に至るまで受け継がれてきました。

それは世界に例を見ない独特なもので、インドのみならず他国へも大きな影響を与えることとなります。

 

その新たな画期的システムとは、「輪廻思想とカースト制度の結合」に他なりません。

つまりカースト制度に起因する民衆の不平不満、憤り等を強権的に押さえ込むのではなく、輪廻思想によってガス抜きし、さらに現世への諦めと来世への希望を説くことで、革命の芽を摘んだわけです。

 

世界広しといえども、約2800年前から輪廻思想があるのは、私の知る限りインドだけです。

それは社会システムの維持のために導入された政治的な策略だった、といっても過言ではないでしょう。