「ブッダは捜して見い出されるはずがない

 それ故、己が自身の心を熟視せよ。」


ミラレパ(1040-1123)は、チベット密教の有名な聖者です。

「十万歌(グルブム)」の作者としても知られています。
 

 「マハームドラーを行ずるとき

 わたしは気を散らすことも労することもなく

 あるがままの状態にくつろぐ

 空の境地では、

 明知にくつろぎ至福の境地では、

 自覚にくつろぎ無想の境地では、

 裸の心にくつろぎ

 現象の現れと活動においては

 三昧(サマーディ)にくつろぐ。」

  『ミラレパ』おおえまさのり訳


当初、呪殺の法を学び、怨敵の叔父に復讐しましたが、その後後悔の念から、かのマルパの弟子となりました。そして過酷な修行を経て、マルパより密教の秘伝を受け、正式にカギュー派の伝承者となりました。


「マハムドラーの詩」はとても素晴らしい作品です。

秘伝といってもよい程の至高の言葉が散りばめられています。

 

これは単なる読み物としての詩ではなく、実技書としても大変有用な文献であることは間違いありません。各節をよく咀嚼しながら、その叡智を味わって頂ければと思います。