般若心経と空観について、問題点の整理をしたいと思います。

 

1.般若心経には幾つかの種類があること。

2.日本で読まれているいわゆる「小本」は、経典の構成上「大本」に見劣りすること

3.「大本」はウパニシャッド型の状況設定になっていること。

4.空の概念は、スッタニパータの時代からあること

5.空の定義と空観の方法は、原始仏教、アビダルマ、中観、唯識等々の各時代(段階)ごとの存在論の変遷を考慮して、しかも派別に考えるべきであること。

6.日本の僧侶が書いた解説本程度の解釈で満足しないこと

7.インド、中国、日本、チベットの各々の視点から考察すること

8.顕教と密教の2通りの視座から、その解釈と扱いを考察すること

9.すくなくとも下記の5冊は、しっかりと読んでおくこと

  「般若心経の真実」 佐保田鶴治著

  「般若心経・金剛般若経」 中村元著

  「密教瞑想から読む般若心経」 越智淳仁著

  「般若心経入門」 ダライラマ著

  「チベットの般若心経」 ゲシェー・ソナム他著

10.チベット密教に於ける般若心経の実修上の扱いが大変興味深いこと

11.空海の般若心経秘鍵を、彼の仏教史学との兼ね合いから読むこと

etc

 

般若心経を、ご利益型「信仰」の対象ではなく、空観についての問題提起と捉えて研究しますと大変参考になります。

 

いずれにせよ、誰のとは言いませんが、巷間出回っている日本の僧侶が書いた一般向けの玄奘訳の「小本」解説を読んだだけではその本質は理解できないでしょう。