半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

 

「半夏白朮天麻湯」は、漢方の古典医書『脾胃論[ひいろん]』に収載されている漢方薬で、水分の摂り過ぎなどで低下した胃腸機能を改善し、吐き気、嘔吐、めまい、頭痛などを改善するのに用いられます。


●めまいは、平衡感覚の働きがくるった時に感じる症状で、漢方医学ではめまいがおこる原因の一つとして、胃腸機能が低下した時におこりやすい水毒・痰湿(水分代謝異常)によると考えています。


 

漢方医学での適応症 痰濁上擾(たんだくじょうじょう)

 脾胃(消化器)の機能不調により痰飲(不要な水分・組織のむくみ)が生じ、それが体の上部(頭や耳)に痰濁として影響をおよぼします。

回転性のめまい、頭のふらつき、頭が重い、目がくらむ、吐き気、嘔吐、食欲不振、疲労感、泥状便などを起こします。

 

【適応症】
体力中等度以下で,胃腸が弱く下肢が冷えるものの次の諸症:
頭痛,頭重,立ちくらみ,めまい,蓄膿症(副鼻腔炎)

 

半夏白朮天麻湯の応用

・頭痛が強い時-川芎や白芷、蔓荊子などを加える 川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)・清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)
・めまいが強い時-天南星や白僵蚕、桂枝などを加える
・頻繁にめまいを起こす時-めまい発作が起きないよう香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)、人参湯(にんじんとう)などを服用して胃腸の働きを整えておく。
・副鼻腔炎に使用する時-辛夷、蒼耳子、川芎などを加える