3月に入り、暖かい日もでてきました。
ただ、日々寒暖差がありますので、体調を崩しやすい季節でもあります。
春は中医学で言う肝臓の機能が亢進し、そして乱れやすくなると言われています。
肝の生理機能として、内臓や血流など体の機能をコントロールする自律神経の働き、血液を貯蔵し、有害物質を解毒する、情緒を安定させる、ストレスへの対処をするなど、さまざまな働きがあります。
また、肝は、目・筋腱・爪などへ栄養を供給し、それらの機能を助ける働きがあります。
肝の働きが乱れると、目の疲れ、めまい、頭痛、まぶたの痙攣(ピクピク)、イライラ、ゆううつ感、不眠などの症状が起きてきます。爪が薄く、もろくなったり、スジが入ったりする場合も肝の機能低下である場合が考えられます。
○めまい・頭痛・目の疲れ
一般的にめまいには、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)や半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)、五苓散(ごれいさん)など気や水の流れを改善する漢方薬を使用します。
ただ、春の季節に起こるこれらの症状では、上記の処方に肝の働きを整える漢方薬を併用するとよい場合があります。
肝経を整える漢方薬として、逍遙散(しょうようさん)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)などが代表処方です。
また、目の疲れや、視力の低下には杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)を試してみると良いです。
○皮膚炎の悪化
春先になって、皮膚炎が急に起きたり、かゆみや炎症がひどく悪化することがあります。
気候の変動による自律神経の乱れ、花粉の接触など要因はいろいろ考えられますが、炎症(熱)と痒み(風邪)を鎮める漢方薬を服用なさると良いです。
温清飲(うんせいいん)や荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)などがよく使用されます。
漢方薬の補助としてササヘルス(クマ笹エキス)を併用していただくこともよい場合が多いです。
○花粉症などアレルギー
春のスギ花粉による花粉症は、症状によって処方を選ぶことが大切です。
うすく透明な鼻水が多量に出る場合は、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)や麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、目の痒みが辛い場合は越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)や消風散(しょうふうさん)、のどの痛みや腫れには、涼解楽(りょうかいらく)などを使用します。
花粉症やアレルギーにも漢方薬の補助としてササヘルス(クマ笹エキス)を併用していただくこともよい場合が多いです。
○生理不順
特に原因が見当たらないのに、春頃に生理不順が起きる事があります。
その場合は、肝経を整える漢方薬を使用すると、生理の調子が改善していくことが多いです。
良く使用されるのが逍遙散(しょうようさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)などです。
その他、春に限ったことではありませんが、睡眠、休養、適度の運動、バランスのよい食事、下半身を冷やさない、など日常生活を整えていただくことがとても重要です。
ご不明な点などありましたら、どうぞご連絡ください。
漢方相談 明正薬局
薬剤師 福本哲也
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