芍薬(しゃくやく)

 

漢方医学では、人が健康に生きるためには、気・血・水がスムーズに流れることが大切であると考えています。

美しい女性をたとえて、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」といわれますが、この芍薬の根には、婦人科系の症状を改善し、女性を明るく元気にする働きがあります。

 

 

芍薬は、ボタン科のシャクヤクの根を乾燥させたもので、血液を滋養し、婦人科系の働きを整えたり、痛みを鎮める働きがあります。

漢方では、月経不順・生理痛・冷え症(冷え性)・不妊症・筋肉に痛み、などに使われてきました。

芍薬の働き

1.補血斂陰(ほけつれんいん)-血液の栄養不足によるめまい、ふらつき、顔色にツヤがない、目がかすむ、体のしびれ、生理不順などに当帰、地黄、川芎などと使用します

代表処方-四物湯(しもつとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

 

2.柔肝止痛(にゅうかんしつう)-ストレスや栄養不足による胸脇部の張った痛み、イライラ、筋肉のけいれん、痛みなどに柴胡、香附子、枳実などと使用します

代表処方-四逆散(しぎゃくさん)、柴胡疏肝散(さいこそかんさん)、逍遙散(しょうようさん)、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

 

3.平肝斂陰(へいかんれんいん)-肝経の陰血の不足による頭痛、めまい、ふらつきなどに地黄、釣藤、石決明、菊花などと併用します

代表処方-鎮肝熄風湯(ちんかんそくふうとう)、七物降下湯(しつもつこうかとう)