とにかく、
あと一時間で、赤ちゃんが生まれてしまう。
自然に生まれなければ、帝王切開って…
あと一時間で陣痛来る訳ないじゃん…
ウテメリンのおかげで、陣痛の張りは、すっかりおさまっていた。
だから、なんともなくなった私の体が、
あと一時間で出産しなければいけないという、恐ろしすぎる事実がとても受け入れられなかった。
ウテメリンの副作用からか、
心臓がドキドキドキドキして、
それが、不安から来る動悸なのか、
…自分では止められない動悸と熱で、
意識が朦朧としてきた。
旦那さんは、泣いたままの私の横で、ずっと
手を握りしめてくれていた。
泣いたら、余計に熱があがっちゃうよと。
優しい目をして、ずっと私を見ていてくれた。
私は、もう帝王切開の覚悟を始めていた。
熱は、相変わらず高く、
アイスノンで、看護婦さんが体を冷やしてくれた。
私は、泣きながら、
今日一日に起こった出来事を思い返しては、
もう、なるようにしかならない現実を受け止めようと、帝王切開の事ばかり考えていた。
私は、長女を出産した時に、
緊急帝王切開になった。
へその緒が、首に巻きついて、心音が下がり、突然の覚悟を迫られた。
あの時の恐怖…
あの時、麻酔が効きすぎたのか効かなかったのか、
手術中に、とにかく息が苦しくなり、
息を吸えなくなり、
声にならない声を振り絞って、苦しいと伝えた事…
次に目が覚めたのは、すでに手術が終わって、手術台から移動される時。
苦しさで、赤ちゃんの産声さえ、聞こえなかったこと。
その晩の傷の痛み。
何年も残ってしまったケロイドの跡。
あの麻酔がきれた時の恐怖…
またか。
また、あれか。
だけど、一度経験してるじゃん。
だから大丈夫。
きっと、次は麻酔もちゃんと効く。
そう、自分に言い聞かせながら、
これから立ち向かわなければいけない恐怖と戦っていた。
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