令和6年8月のオススメ2冊 | 乱読家ぽちんの独り言

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令和6年8月に読んだ21冊からのオススメの2冊です。

《令和6年通算172冊》


「政治思想マトリックス」茂木誠(PHP研究所)


さまざまな時代、さまざまな国の政治思想を、X軸を経済的自由(平等⇄自由)、Y軸を政治的自由(上:グローバリズム、下:ナショナリズム)として、マトリックスで整理したものです。

茂木誠さんは、駿台予備校の世界史の講師。世界史は本来は暗記のための教科ではなく、それぞれの時代に生きた人々の行動から、今を生きる我々が何を選択すべきかを考える学問だと思います。

ひたすらに世界史の年号と事件名、人命などを暗記するのではなく、マトリックスでわかりやすく整理されているのは、さすが予備校講師の思考だなぁと思いました。


「極楽征夷大将軍」垣根涼介(文藝春秋)



ずーっと戦をし続けている感じの、足利尊氏、足利直義、高師直ら武士たちですが、彼らは自分たちの私利私欲のために戦をしているわけではありません。

かつては、日本の農地はすべて天皇と貴族のものでした。日本各地の庶民は、家族を養うために新たに土地を開墾し、その土地を守るために武装してゆきました。それが武士となり、鎌倉時代以降は武士の世となりました。武士たちは、家臣や家族を養うために所領を少しでも広げるために戦い続けました。

子や孫の命をつなぐ為に、「今日より明日を豊かにしたい」と願う人として当たり前の感情で行動することが、戦で多くの人の命を奪っていかざるを得ないという「この世の不条理」を産みました。

現代社会においては、それが大量破壊兵器の登場や、地球温暖化など、新たな不条理を産んでいるともいえます。

はたして人類は、個人の欲求第一から全体最適を優先して行動を選択することが、本当に出来るのでしょうか?