「宗教の起源」ロビン・ダンパー(白楊社) | 乱読家ぽちんの独り言

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⚫︎宗教の定義は、大きく分けて「行うものとしての宗教」と「信じるものとしての宗教」の2つ。儀式か信念か、行動か思考か。


⚫︎宗教についての基本的な二つの問題。

「どうして人間は宗教を信じようとするのか?」

「なぜ宗教はこんなにたくさんあるのか?」


⚫︎宗教を信じることは個人の利益になる。宗教によって共同体の結束が強まれば、組織が有効に機能するようになり、構成員の個々の利益になる。


⚫︎新しい宗教は、古い宗教の形式を一掃するのではなく、むしろそこに接木している。古い宗教は、人々の精神に深く根をおろしており、完全に消しさることをことは難しい。


⚫︎主要な宗教は、神秘体験が重要な構成要素となっている。神秘志向は、死により「生命と存在はそこで終わる」と思いたくない感情が根底にある。


⚫︎「宗教から得られる利益は何か?」に対する多くの研究者の答えは、「個人レベルの利益(世界を説明する手段を得る、医学的介入)」、「社会レベルの利益(正しい行動をさせるため、上層部の利益の為に大衆を抑圧)」、「共同体結束の仕組み」。


⚫︎信者集団の人数は、150人が安定。それを超えると分割しやすくなる。一方で、150人を超えると内向きな共同体から、開かれた共同体へ切り替わる傾向がある。


⚫︎面識のない他人に親近感を抱く価値観の順位は①道徳、②宗教、③音楽、④政治、⑤現在地、⑥出身地、⑦民族の順。


⚫︎宗教儀式の特徴は、「信者の行動の同期が徹底されていること」「手順を厳密に守ること」。儀式は脳内のエンドルフィンを増加させ、結束感を高める。


⚫︎約12000万年前、新石器時代となり、一つの集落の人数は、それまでの数百人レベルから数千人に増え、さらに巨大な国家に成長した。それが共同体の結束を維持する為の、秩序を維持するための、教義宗教が出現する引き金となった。


⚫︎どんな宗教も、カリスマ的な指導者を中心とするカルトから始まる。カルトは、例外なく自分たちが置いている宗教的景観のどこかに反発して始まる。



宗教の起源、宗教の特徴、宗教と集団・国家の相互作用など、面白かった。


ヨーロッパ、中東など、戦争を繰り返してきた地域ほど、強力な教義体系を持つ宗教が広がっていく。

中国の中華思想も共産主義も宗教のようなものと考えることができる。


一方、日本は宗教については、世界では珍しい独自のフワッとしたものである。

外来宗教である仏教を、日本古来の自然崇拝と先祖崇拝と一体化させて、独自の教義を生み出し、発展させた。

また、欧米から文化文明を受け入れたが、強力な教義を持つ、一神教は受け入れなかった。

それは、四季の変化が有り、何度も自然災害を受けることで、「無常」の価値観が土台として持つに至ったこと。そして、権威はあっても権力を持たない天皇陛下のご存在。

この2つが、日本の独自の宗教性を維持させているのでしょう。


なので、天皇陛下の万世一系の父系継承は、日本という国を護るためには大切なことなのです。




「宗教の起源」ロビン・ダンパー(白楊社)

【3月16日読了】

【オススメ度★★★★】