【「はじめに」より引用】
「書物とは人の内なる凍った海を割るための斧なのだ」フランツ・カフカ(小説家)
書物の愉しみは未知の世界を旅することにある。読書とは自らのこころの凍土を打ち砕いて、奥底に眠る異世界を探究し魂に自由を取り戻す旅に他ならない。
【引用終わり】
⚫︎地球から見える月の表面の景色、「うさぎ」の模様は溶岩台地によるもの。反対側の月表明には溶岩台地は見られない。なぜ、地球側にだけ溶岩台地が出来たのか?地球と月の生い立ちを考える。
⚫︎17世紀に観測されていた金星の月(衛星)が、現代では見つからない。もともと無かったのか、無くなったのか?
⚫︎ブラックホールの名の由来は、カルカッタでの戦場捕虜への虐殺の手段?!
⚫︎もし空間が無限で、われわれの知られた宇宙が有限なら、知られていない部分には、我々の宇宙のコピーやそのあらゆるヴァリアント(変異)が無限に存在するはずである。(オーギュスト・ブランキ)
⚫︎我々がシミュレーション内の存在である確率は、限りなく1に近い?!
⚫︎20億年前のアフリカ西海岸で、天然原子炉が稼働していた?!
⚫︎国家の興亡の歴史を、国力と社会的凝集性(団結心、公共心など)を変数にとり、非線形微分方程式であらわしてみると、モンゴル帝国などは、この方程式に合致する。
⚫︎多数決での個々の意見を「浮動型」「固定型」「逆張り型」に分類すると、「逆張り型」の存在が、強者の意見を後押しすることになる。
⚫︎ほぼ全てのSNSユーザーは、賛成派もしくは反対派だけからなる同質の仲間だけの、エコーチェンバー(反響室)の中に棲んでいるといえる。
⚫︎遺伝学の基本となっている「メンデルの法則」。しかし、彼が1866年に発表した論文の実験結果は、統計学的に「理論に合いすぎ」ていて、捏造が混入している。
『銀河の片隅で科学夜話』に続く科学エッセイ集。「天体」「極微」「街」「生命」の四つの視点で全20編を収録。
何気なく図書館で借りてきた前著が、メチャクチャ面白かったのですが、この本も期待通りでメッチャ面白かったです(理系脳限定かも)。
「金星の月」が無くなった話、SNSで政治思想の分断が起こる理由、天然原子炉の話、出来すぎているメンデルの実験の話など、目から鱗の話ばかり。
オススメします。
「渡り鳥たちが語る科学夜話」全卓樹(朝日出版社)
【7月13日読了】
【オススメ度★★★★】