「Disobedience」 が好きすぎるので、この作品についてもっとこのブログで触れていきたいなと思います♪
本当になんでこんな素晴らしい映画が日本未公開なのかしら!
せめてDVDの発売、レンタルなどで日本でも多くの人が見られるようにして頂きたいです。
私は輸入盤ブルーレイを購入し、無事見ることができました。
(スペイン盤は日本語字幕ありです!)
ここでは、映画のストーリーを細かく追いながら感想もちょこちょこ書いていこうと思います。
(トリビアや撮影裏話的なものもあれば。)
正統派ユダヤ教の慣習などについても色々調べてみました。
※盛大にネタバレありなので未見の方はお気をつけ下さいませ。
あと、以前「Disobedience」の脚本(screenplay)をダウンロード出来たので、映画にはなかった未公開シーンなどもまた別記事で書きたいと思います。
この記事では未公開シーンが入る場面に、★で印をつけておきます。
(全て書くのはちょっと大変なので、主にロニートやエスティが登場するシーンだけになると思います^^;)
ストーリー、未公開シーン記事ともに長くなりそうなので、マイペースに書き進めていきたいと思います。
主な登場人物紹介を簡単に紹介。
ロニート・クルシュカ(レイチェル・ワイズ)…NYで暮らす写真家。ラビの一人娘。40歳。
エスティ・クーパーマン(レイチェル・マクアダムス)…ドヴィッドの妻。ユダヤ系小学校の教師。30代。
ドヴィッド・クーパーマン(アレッサンドロ・ニヴォラ)…ロニートのいとこで、エスティの夫。ラビの信頼する弟子。40代。
ラビ・クルシュカ… ロニートの父。ユダヤコミュニティの偉大な指導者。
モーシェ・ハートグ… ロニートの伯父。ロニートの亡き母の兄。
フルマ・ハートグ… ロニートの伯母。
(年齢は脚本に記されていた歳です。)
では…
ロンドン北部の町、ヘンドン。
正統派ユダヤ教のラビ(指導者)クルシュカが、シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)でトーラー(聖書)について語り演説を行っている。
彼の側には若きラビのドヴィッド・クーパーマンがついている。
クルシュカの体調は次第に悪くなり、ついには倒れてしまう。ドヴィッドや多くの信者たちが駆け寄る…。
ニューヨーク、マンハッタン。
★1
フォトスタジオ。ロニート・クルシュカは上半身タトゥーだらけの年配男性をモデルに写真を撮っている。
するとアシスタントの女性クラウディアから、ロニートへ大事な客が来ていると伝えられる。
緊張の表情を見せるロニート…。
クラウディアからは“ロニー”と呼ばれている。(彼女は仕事では“ロニー・カーティス”という名前を使っている)
★2
ロニートは放心した表情で道を歩いている。
バーに入り酒を飲んだ後、トイレで男性とカジュアルなセックスを。
最初はこのタイミングでなぜ??と思ったけど、父の死の知らせによる心の痛みを少しでも何かで紛らわしたいだけだったのかなと。。
その後スケートリンクで、心ここに非ずといった感じで一人滑るロニート。
更衣室のベンチに座り、息苦しさから着ているシャツの襟元を破る。
彼女の表情からは相当なショックと葛藤が伺えます。。
長年会っていなかった父の死と、かつて自分が捨てた故郷の町へ戻ることへの迷い。
(映画や脚本では言及されていませんが、ロニートが故郷を捨て15年~20年ほど経っているとレイチェルは話していました。)
ロニートは飛行機に乗り、故郷ロンドンへ帰ります。
(レイチェル・ワイズは、この映画で描かれている正統派ユダヤ教コミュニティがある町ヘンドンから地下鉄でわずか数駅の所で生まれ暮らしていた。彼女の住んでいたハムステッド・ガーデン・サバーブの最寄り駅は地下鉄ノーザン線のゴルダーズ・グリーン駅。そこから北に2つ目の駅がヘンドン・セントラル駅になります。
彼女の両親もユダヤ教徒だったけど、彼らのような厳しい規律のようなものはなくもっと自由な生活だったと話していました。彼らのコミュニティについても詳しくは知らなかったそう。)
空港に着いたロニートは、タクシーでドヴィッドの家へ向かう。
懐かしい町の風景とユダヤコミュニティ独特の衣服(男性は髭を伸ばし黒い帽子に全身黒の服装)に身を包んだ人々。
家の向かいから様子を伺っていると数人の人が出てくる。
ロニートは自然とシャツの胸元のボタンを留める。
(※ユダヤ教では女性の肌の露出はタブーとされている)
大きなスーツケースを転がし彼の家へ近づく。
玄関先に現れたドヴィッドを見て、ロニートは緊張しながらも久しぶりの再会に感動する。
(20年近くも会っていなかったら、大人の男性へと成長した彼にビックリしますよね。)
ロニートを見て少し驚きの表情を見せるドヴィッド。
「来るとは思っていなかった」と言われ、てっきりドヴィッドがNYへ連絡をくれたと思っていたロニートは戸惑う。
「May you live a long life.(長寿を)」と(ユダヤ教の決まり)挨拶をされ、ロニートはドヴィッドにハグをしようと体を寄せる。
しかしドヴィッドは一歩身を引く。
※ユダヤ教では肉親間、夫婦間を除く男女の物理的な接触は禁じられているのです。
これを思い出したロニートは慌てて離れ謝る。
ラビを忍び多くの人が集まっているから顔を合わせていきなよと、家の中へ招かれる。
緊張しながら数人に挨拶をしリビングへ。居心地の悪さを感じるロニート。
そこへ伯母のフルマが現れ、ロニートの帰郷に驚きながらも喜んで迎えてくれる。
伯父モーシェも来て彼女へ挨拶を。しかし彼の表情は固い。
ロニートはドヴィッドにコーヒーを頼み、2人はキッチンへ。
★3
キッチンでようやく2人は落ち着いて話をする。
私のことを怒っている?と聞くロニート。突然町を去った彼女をやはりドヴィッドも快くは思っていないよう。
この時、ロニートは微笑みながら何か歌を口ずさみます。
これは有名なユダヤ教の歌らしいです。ロニートも小さい頃はドヴィッドたちと一緒によく歌っていたんでしょうね。
懐かしみながら、同時に幼馴染の彼らとの繋がりを求めたんだろうなと思います。
彼の手に指輪があるのに気付き、結婚したの?と彼女は尋ねる。
しばらく前に結婚したという彼。
もしかして相手はヒンダ(昔ロニートとは仲が悪かった?と思われる同世代の女性)じゃないでしょうね?と彼をからかう様に話すも、妻の名前を言おうとしないドヴィッド。
するとキッチンへエスティが入ってくる。客へ料理を配膳していたよう。
ロニートは彼女の登場に一瞬息をのむ。見つめあう二人。
ニューヨークの都会ファッションのロニートと、典型的なユダヤ女性の格好をしたエスティ。
ウィッグを被り長袖・丈の長いスカートと露出を控えた服装(そういった格好をフラムと呼ぶらしい)。
後で分かるのですが、ウィッグはこの時は気が付きませんでした。こういう髪型なのかと。
※正統派ユダヤ教の女性は、結婚後は髪を剃ったりウィッグを被るなどして地毛を夫以外の男性に見せてはいけないという決まりがあるのです。
髪は男性を魅了するものという考えがあるようです。こういったウィッグ(かつら)はシェイテルとも言われる。
ロニートはホテルに泊まるつもりだったが、ドヴィッドに“僕ら”の家に泊まればいいさ、と言われる。
“僕ら”という言葉を聞き、ドヴィッドが結婚した相手はエスティだったのだと彼女はようやく気付く。
驚きとショックで呆然とするロニート…。
平静を装う様に「そうね泊まっていって」と言い、部屋の準備へ向かうエスティ。
ロニートは2人の結婚とそれを何も知らされなかったことに怒りと動揺を見せる。
そして、昔はいつも3人一緒だったのに…と1人取り残されたような寂しさと孤独も感じる。
「父のことも病気だと知らせてくれたら帰ってきた」と言うロニートに、ラビが知らせるなと言ったと聞かされ、ロニートはさらに傷付く。
喪に服すこの1週間は敬意をもって大切にしたいと、ロニートの怒りをなだめようとするドヴィッド。
その後シヴァ(葬儀後7日間喪に服す期間)の最後の儀式として、弔問客たちが列をなし道を歩く。
ロニートも流れで参列することになり、まるで自分も敬虔なユダヤコミュニティの一員になったような感覚に陥る。
先頭を歩くエスティは振り返り、後方を歩くロニートと見つめあう。
夜、ドヴィッドの家。ロニートに用意してくれた部屋で2人きりのエスティとロニート。
ロニートがじっと自分を見るのに気付き「私老けたでしょう?」とエスティ。
「そんなこと思っていない。」とロニート。エスティはなんだか素っ気なく冷たい印象…。
2人の間には気まずさが感じられます。
エスティが部屋を出た後、ロニートは置いてあった新聞を手に取ります。
ドヴィッドがタオルを持って部屋に現れ、ロニートは新聞に載っている記事を読み上げる。
それは父ラビの死を伝えるもので、彼には子供がいないとも書いてある。
ロニートはその事に深く傷つく。自分は父からも故郷からも否定された存在だと…。
そして小さい頃から弟子として父に愛されていたドヴィッドに嫉妬も見せます。
戻ってきたエスティとドヴィッドに、ロニートはNYで出版した自分のアート集をプレゼントする。
お礼を言い部屋を出ようとする2人に、ロニートは「夫婦になって幸せ?」と聞く。
「幸せだよ」と答える彼と、隣で頷くエスティ。
ここまでは、エスティはロニートのことをどう感じているのかまだよく分かりません。。
かつてお互い愛し合っていた2人。しかし突然この地を離れ居なくなったロニート。
エスティは既に結婚し、もう彼女に対しては何も思っていないのか…。素っ気ない態度は何を表すのか…。
だけど時折ロニートと見つめ合う彼女の目は、奥に強く秘められた感情があるように思えて仕方ありません。
夜中、キッチンで蛇口から水を流したまま、その場に立ち尽くすエスティ。。
そう、彼女は平静を装ってはいたものの、ロニートの帰郷に本当はとてもとても動揺していたのです。
-②に続く