娘(中3)息子(中1)2児の母です。

習い事をきっかけに息子が小6で『PTSD』

診断。その後、二次障害で『強迫性障害』

発症。息子、小6秋から不登校になり、

続いて娘も不登校に。


習い事のはじまり〜今までの

日常で辛かった事、子供たちとの関わりを

お話させていただいています。


子供たちがまた、心から笑って

過ごせる日を願う母の日記です。

前回のお話

はじまりの続き その14『先生と選手の形』 


1番最初のお話

はじまり『あの頃は楽しかった』 




 息子、小学6年生の8月。


 
 小学校生活、最後の集大成。
 『小学生全国大会』をかけての
 予選会に向けて、
 今までで
 1番と言ってもいいくらい
 過酷な1週間の
 練習が始まった。


 
 息子は、この1週間の初日に
 「お母さん、僕、
 県大会では2位だったけど、
 今度(1週間後)の大会では、
 必ず優勝して、
 全国大会に挑むよ。
 だから、頑張るからね。
 もし、優勝したら先生、
 喜んでくれるかなぁ?」
 と、
 息子が私に言ってきた。
 
 
 そんな息子の様子から、
 『先生を喜ばせたい…』
 『先生に褒めてもらいたい…』
 と、息子は、
 今でも思い、求めているんだな
 と、悟った。


 どんな過酷な練習になるのか
 想像がつくのにもかかわらず、
 私に、そう話してきた息子を
 私はできる限りのサポートを
 して、息子の目標を
 叶えさせてあげたい!
 と、心から願った。
 


 この日を境に、
 息子は、自分のために
 これでもかっていう位、
 自分を追い込みながら
 練習をしていた。

 
 だが、
 練習場に行くまでの
 車内での様子は、
 今までと変わらず
 笑う訳でもなく、見ている訳でもなく、
 ただただ、
 漫画動画の一点だけを見て、
 練習前の自分の心の中に
 不安や心配、
 先生からの恐怖心が
 入り込まないようにしていた……。
 
 自分が崩れてしまわないように
 息子は、自分のために
 余裕のない心で
 必死だった……。
 「今の僕にはこれが必要だから」
 と、言われた時は心が痛くなった……。

 

 試合会場までの車移動での3時間は、
 息子の願い通り、
 先生とは別々の車で
 移動をした。


 

 いよいよ本番だ。
 全国大会に出場するための
 権利を勝ち取る予選会が始まった。
 
 
 
 
 私は、観客席から
 会場で頑張っている息子を
 願う気持ちで見守り続けた。
 

 
 この大会でも、
 優勝をするには、
 小さなミスも許されない。
 クラブができてから40年以上経つ
 息子のクラブでも
 今大会で、優勝できた選手は、
 4人しかいないくらい
 全国大会ではないが
 優勝カップを手にするのは、
 なかなか難しいのだ。
 各県大会で勝ち抜いてきた
 選手が集まるだけあって
 皆、強い選手ばかりだった。


 
 息をするのも
 忘れてしまうくらい
 観客席の私までもが
 何とも言えない
 緊張が襲いかかってきた。
 腕には、
 鳥肌が立ち、
 手には汗が凄かった。

 
 
 息子を見守りながら……
 今日までの息子の姿が
 走馬灯のように
 私の頭の中を駆け巡ってきた……。


 
 本当に今日まで、
 よく頑張ってきたね。
 
 
 
 どんなに
 辛くて苦しくても
 弱音を吐かず、
 「目標を達成するには頑張るしかない」
 と、言って
 前に進んで
 頑張ってきたね。


 
 どうか先生、
 どんな形で試合が終わろうが、
 息子がこれからも
 このスポーツが大好きで
 続けられるような
 言葉をかけてあげてください。
 十分、頑張ってきましたから……。
 息子からこれ以上、笑顔を消さないで……。

 
 
 先生、お願いします…………。


 
 1戦、1戦が
 終わる度に、
 自分の鼓動が周りに
 聞こえているのではないかと思うくらい
 私までもが緊迫していた…。


 
 会場には、
 最後の1戦の始まりの合図を待つ
 息子の姿があった。

 
 
 会場にいる息子は、
 自分の胸に手を当て、
 自分を落ち着かせながら、
 『自分を信じよう』
 と、自分に
 言い聞かせているように見えた。


 
 最後の1戦の合図がされ、
 これで決まる最後の1戦がスタートした。
 

 
 この勝負に全てをかけて戦っている
 息子の姿が
 今までで1番、
 大きく見えた。

 

 先生の目を気にせず、
 自分のために
 堂々として戦っている
 息子の姿だった。


 
 今まで
 あんなに辛い嫌な経験をしてきても、
 最後まで自分に諦めず、
 戦い抜いた息子が
 本当に、
 本当に、
 心から嬉しかった。
 誇らしかった。



 試合1週間前に
 息子が私に言ってきた通り息子は、
 この大会で優勝をした。
 優勝カップを手にしたのだ。

 
 
 先生も息子に、
 「優勝おめでとう」
 と、笑顔で声をかけてくださり、
 息子は先生と握手を交わしていた。
 
 

 4年生から全国大会に出場してきた
 息子が、
 初めて先生に
 褒めてもらえた瞬間だった。


 しかし、
 息子は「ありがとうございます。」
 と言いながらも
 顔が引きつっていた……。



 
 この後、
 笑って喜んでもいいはずの息子が
 なぜ、顔が引きつっていたのか……。


 
 
 この大会が終わってから3週間後……。
 今まで1度も弱音を吐かなかった息子が
 私に言ってきた……。



 

 

 「お母さん、僕もう無理」と……。




 

 
 つづく




最後まで読んでくださりありがとうございました。