娘(中3)息子(中1)2児の母です。

習い事をきっかけに息子が小6で『PTSD』

診断。その後、二次障害で『強迫性障害』

発症。息子、小6秋から不登校になり、

続いて娘も不登校に。


習い事のはじまり〜今までの

日常で辛かった事、子供たちとの関わりを

お話させていただいています。


子供たちがまた、心から笑って

過ごせる日を願う母の日記です。

前回のお話

はじまりの続き その12『形が違う自分のために』 


1番最初のお話

はじまり『あの頃は楽しかった』 



 息子、小学6年生の春。


 

 

 小学校生活最後の集大成だ。

 

 

 

 「日本ジュニア強化選手になりたい」

 と、思い続けて

 本当によく

 頑張ってきたからこそ

 今、

 手の届く地位まで

 辿り着く事ができた。

 

  

 

 いよいよ

 今年こそが本番だ。



 

 

 今年こそ、

 狙える地位にいるからこそ

 息子自身も、

 大会に向けての意気込みが

 今までとは違い、

 先生の

 息子への厳しさは

 更に増していった。

 中途半端が嫌いな先生は

 容赦しなかった……。


 

 

 コロナの影響もあり、

 今年も練習時間の

 終わり1時間だけ

 保護者の見学が許されていた。



 

 息子が6年生になった初日に

 息子を見ながら

 今までの辛かった出来事が

 私の脳裏を過ぎった……。



 

 

 あれだけの事を言われ、

 傷つけられてきたが

 息子は、いつも

 先生をかばい、

 先生からの

 「ごめんな。」を

 純粋な気持ちで

 信じ、

 先生との楽しかった記憶、

 自分のために

 いつも、

 一生懸命になってくださっている

 先生への

 感謝の気持ちも

 忘れなかった。



 

 「僕が優勝して

 先生を喜ばせたい!」

 とも言っていた。




 しかし……。

 練習場での

 息子の姿と、

 家での

 息子の姿は

 全くと言っていいほど

 違った……。



 

 練習場では、

 練習とはいえ、

 優勝するからには

 失敗さえも許されなくなってきた。



 

 息子が失敗をすれば

 

 「てめーは何やってんだよ!

  バカかっ!」


 「お前なんかに教えてる

 時間が無駄なんだよ!

 てめーがいけないだろーが!」


 「お前が強化選手になりたいって

 言ったんだろ!

 失敗なんかしてんじゃねーよ!

 やれよ!早くやれよ!!」


 「お前なんか教える価値すら

  ねーんだよ!」


 「邪魔なんだよ!

 とっとと消えてくんない?

 しっし!」と

 手で追い払われたり……。



 

 一回の失敗を

 する度に息子は、

 容赦なく傷つく言葉を

 先生から言われ続けていた……。

 言葉がなくとも

 先生は

 いつも、遠い所からでも

 息子の練習を

 チェックしていた…。



 去年の夏の大会で

 身支度さえさせてもらえずに、

 先生に

 大会会場から

 追い出された体験……。

 


 頭の怪我をし、

 ものすごい剣幕で

 怒鳴られた体験……。


 

 練習中に

 幾度もの

 息子への暴言により

 傷つき恐怖を感じた体験……。

 



 そして、

 6年生になり

 気持ちを切り替えて

 頑張っていても、

 もちろん

 今までも、

 褒めてもらえる事はなく……。

 

 ただただ、

 人格否定の

 暴言……。

 全国優勝をするには

 どんな技でも、

 できなきゃダメ、

 出来ていて当たり前……。

 と、

 言われ続けてきた。


 

 上手く

 出来た時も

 褒めてもらえる事さえなく、

 怖い目つきで

 次の指示を出すだけ……。

 先生が、

 言葉を発したとしても 

 「はい、いいよ」と

 怖い雰囲気で

 言われるだけ……。

 

 


 練習場所でありながらも

 息子の心の中では

 「失敗したら怒鳴られる」

 「失敗したら……。」

 「失敗したら……。」

 と……。


 出来ない事も頑張って

 挑戦するよ!と活き活きしていた

 あの頃の息子が、

 出来ない事、失敗する事が

 先生に怒られる恐怖へと

 変わっていってしまっていた……。


 

 だが、

 それでも息子は、

 先生に応えるため、

 自分のためにも、

 練習時間外でも

 出来る限り時間を作り、

 先生の前では

 良い形で成功するように

 努力を重ねていた。

 平日、土日

 関係なく時間を作っていた。

 

 


 そういう

 練習時間を作るのにも

 先生の許可が必要だった。


 

 

 息子は、

 毎週日曜日、

 1時間のお昼休憩を

 15分ほどにし、

 後は、個人練習に充てていた。


 そんな息子が

 先生に許可を貰いに行く度に、

 自主練習を自らする息子の行動を

 先生は、喜んでいた。

 自分が

 思い描く選手の姿であるからだ。

 


 ある日曜日の前日まで、

 息子だけ1週間、

 他クラブでの練習に参加し、

 休憩時間20分しかない

 過酷な10時間練習をした日もある、

 とても、キツイ練習だった。

 

 

 そんな

 翌日の日曜日での練習では

 さすがに、前日の疲れが残っていた。

 その日のお昼休憩だけは、

 ゆっくり、しっかり1時間休んで、

 また午後の練習に集中しようと

 息子はしていた。


 

 お昼休憩も終わり、

 午後の練習始めに先生が、

 「今日は、お昼に練習しないんだぁ。

 今日はお前、やる気がないんだろ。」

 と、先生は息子に言った…。

 前日まで、息子が他クラブで

 どんな練習をしてきたか

 全て知り尽くしているのに……。

 


 息子が、

 お昼休憩に練習をする事自体が

 努力をして、頑張ってきた事なのに

 その日1回だけの息子の行動に

 対して、そう言われてしまった事が

 ショックで息子は

 たまらない気持ちに

 なった……。

 悲しさと、悔しさが

 込み上げてきた……。




 今の話しも

 その時に

 息子が話をしてくれた訳ではなく、

 後々に息子が私に

 話をしてくれて知った事だった…。



 

 自主的にやっていた気持ちも

 先生の一言で、

 「やらないといけない」

 「やらないとまた、ダメな奴って思われる」

 と、

 息子は

 心の中で、

 自分の練習、

 自分の言葉、

 自分の行動、

 全てが自分の責任になるから……。

 と、苦しみながら

 練習を続けていた……。

 



 先生が

 練習場にいない自主練時間に

 出来るようになった技も、

 次第に、

 先生の前では

 出来なくなってしまっていた……。


 

 頭を怪我した時の出来事が、

 息子の中にしっかりと

 記憶として残ってしまい

 また、失敗をしたら…

 また、怪我をしてしまったら…

 また、怒鳴られる…

 同じ失敗を

 繰り返さないようにしなくては…

 

 

 頑張りたい気持ちがあるのに、

 怪我をした時の技の時だけ、

 息子の体は自由が利かなく

 なってしまっていたのだ……。

 


 息子の中で

 先生に対する…。

 練習に対する…。

 恐怖心が増してしまっていたのだ……。


 


 そんな

 練習場での自分を

 隠したいのか…。

 ここで弱音を吐いたら

 自分自身が一気に

 崩れてしまいそうなのか…。

 

 

 息子は、一切

 私には

 辛さを見せず、

 弱音も吐かず……。

 



 そんな

 息子の心境とは

 真逆な行動を

 息子は私に見せていた。

 


 順調に

 練習が出来ていて、

 この先にある

 全国大会への

 思いなどを

 普通に、

 よく話してきてくれていた。



 


 きっと息子は、

 今まで以上に

 過酷な辛い練習をしているだろうが、

 ここまで

 耐えて、頑張ってきたからこそ

 『ここで負けたくない』

 『諦めたくない』

 そんな気持ちが

 11歳の息子の心の中には

 強く存在していたのだろう。




 しかし、

 この時の息子は、

 『自分はこうでありたい』

 『自分は、目標を叶えたい』

 と、自分を奮い立たせながら

 努力を続けてきたが、

 自分の思い通りに、

 自分自身が

 ならなくなってしまっている現実に

 私が想像する以上に

 苦しんでいた……。


 

 家では

 普通に振る舞う事で

 辛い自分を

 保っていれたんだね……。

 ごめんね……。


 

 


 今日までの

 先生との二人三脚で

 歩んできた日々の辛かった思い出と、

 現実に今でも起きている

 息子への暴言……。

 


 過去の先生と今の先生が

 更に、

 息子の心を

 蝕んでいってしまっていた……。

 

 

 

 

 息子、小学6年生の6月。


 

 地区大会では優勝でき、

 県大会を迎えた。




 県大会では、

 最後の最後にミスをしてしまい

 結果は2位だった。



 

 1位、優勝ではないと

 意味のない扱いをするこの教室……。

 例え全国大会での2位だとしても

 総合優勝でないと

 意味のないメダル扱いをされてきた……。


 

 

 失敗をし、2位で終わった息子に

 先生は、ものすごい剣幕で

 怒鳴っていた……。

 失敗をした息子に

 納得できない様子だった……。


 


 他のクラブの保護者が、

 会場ホール入口の隅で、

 先生にものすごく怒られていた

 息子の姿が数日しても

 忘れられず……。

 後日、

 心配して、

 私に連絡をくださった。 


 「◯◯くん、先生に凄い怒鳴られてて

 すみません、すみませんって何度も

 謝ってたけど、

 いつも、あんな感じなの?

 今回以外の大会では、今まで

 ずっと優勝を獲り続けているのに…。

 それだけでも

 並ならぬ努力があってなのに……。」


 正直、

 息子のクラブでは

 昔から、こうして子供たちが

 先生から怒鳴られ怯えている姿は、

 息子が入会した時からずっと、

 目にしてきた光景だった……。

 このクラブで

 育ってきた子供、

 見守っている保護者には

 いつしか、

 当たり前……。

 見慣れた光景……。

 に、

 なってしまっていた。


 

 先生たちに

 「僕たちに任せてもらえれば

 必ず強くさせて、全国優勝しますから。」

 と、

 言われた事もあった…。

 色々な日常が

 当たり前になり、

 保護者までもが知らぬ間に

 洗脳されてしまっていたのだ……。

 保護者たちも、

 先生に評価されてしまうから

 変に物を言えない……。

 

 他クラブだから

 そんな先生と息子の光景に

 衝撃と違和感を感じてくれたのだろう…。

 

 保護者からの言葉にまた、

 心が救われ、私の洗脳もまた更に、

 溶け始めていった。


 

 本当なら

 先生から息子に

 かけてあげて欲しい言葉なのに……。


 

 今の失敗を責めるのではなく

 次の大会に向けて

 更に頑張れるような言葉を

 子供たちに

 もっともっと

 かけてあげて欲しかった……。



 息子は先生に、

 「てめーみたいな奴はほんと、

 使えねー奴だなぁ!

 もう、話しかけてくんじゃねぇ!

 近づいてくんじゃねー!!」

 と、ものすごい剣幕で

 怒鳴られた……。

 

 

 その日の

 試合の帰り道で

 息子が先生にそう言われ、

 自分の試合を終えた息子が

 クラブごとに決められた観客席で

 みんなから離れたクラブ席に、

 ポツン…………と、

 何とも言えない表情で、

 背中を丸めて元気のない姿で

 1人離れて座っていた意味を

 初めて息子から知らされ、

 私は、

 ショックを受けた……。


 

 この時、

 観客席にいる

 息子のあまりの姿に私は

 「よく、頑張ったね。お疲れ様。

 みんな向こうに座ってるよ。

 一緒に座ったら?」

 と声をかけると息子は、

 すぐに先生の方を見て私に言った。

 「もう、いいから。

 俺はここがいいから早くあっちに行って」

 と、

 息子は、焦るように

 「もう、今は声をかけて来ないで」

 と、言われているように思えた。



 

 先生はその時、

 息子より1つ学年下の選手に

 「よく頑張ったな。良かったよ」

 と、ミスなく終えた選手を

 褒め称え

 楽しそうに話しながら

 声を出して笑っていた……。

 

 

 離れた席で息子は、

 青ざめた顔でずっと下を向いていた…。


 

 

 『僕も、頑張っているのに……。』


 

 

 他の選手を褒め称えて

 先生が笑っている光景を見るのが

 辛かったんだよね……。

 


 

 

 息子が、

 全国に出場するようになってから

 先生の態度は

 変わってしまった……。



 



 つづく

 

 

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。