娘(中3)息子(中1)2児の母です。

習い事をきっかけに息子が小6で『PTSD』

診断。その後、二次障害で『強迫性障害』

発症。息子、小6秋から不登校になり、

続いて娘も不登校に。


習い事のはじまり〜今までの

日常で辛かった事、子供たちとの関わりを

お話させていただいています。


子供たちがまた、心から笑って

過ごせる日を願う母の日記です。

前回のお話

はじまりの続き その8『11歳の息子がメダルよりも求めていた物』 


1番最初のお話

はじまり『あの頃は楽しかった』 



息子、小学5年生の9月。


10月末には全国大会を控えている息子は


自分の目標を叶えるため
先生に怒鳴られないように……。

必死にくらいつきながら
毎日、練習を頑張っていた。


ちょうどこの頃から
コロナの影響により練習場所にも
保護者の見学に対して制限が
かけられ始めたのだ。


夏に続き、
息子が頑張って乗り越えられる事を
この時は、願う事しかできなかった。


そんな中、いつものように
練習に向かう車内で息子が
「頭が痛い、気持ちが悪い」と言ってきた。
9月の始まりだった。


今まではなかったが
息子も今までの子供たちと同じく
練習への拒否反応なのか?
それとも、本当に体調が悪いのか?


体調不良を練習前に言ってきたのは
初めてだった。
私は、それでも息子に
「大事な大会もあるし、行くだけ行って
頑張ってみよう。」と言ってしまった。
息子の辛い気持ちに1番に
寄り添う事をせずに、いつの間にか私も
『練習に連れて行かなくては』
という考えが洗脳されてしまっていた……。


息子は、そんな私に
「行って途中で帰るなんて出来る訳
ないじゃん!先生に怒られるよー!!」
と言って、大泣きしていた。
日々の練習の辛さを
物語っていた……。


とりあえずこの日は
練習場所に向かって車を走らせていたが
泣きながら訴えてきた息子を
無理やり連れて行く事はできなかった。


息子は言った。
「今日は休んで
 明日は必ず行くから」と
怯えている様子だった。
今、思えば息子からの
SOSだったんだろう……。



練習を休みたいと泣きじゃくる
息子ははじめてだった……。
すごく疲れている息子……。
体というより、今、思えば
息子の心が悲鳴を上げていたのだ……。



今日、練習を休ませてもらう事を
先生に連絡しなくてはいけない。


本当なら、
息子が自分で電話をかけて
先生に休む事を伝えなくてはいけない
ルールだったが、気持ちが悪くて
頭が痛いと言っている息子が軽く嘔吐を
してしまい出来る様子ではなかったので
私が代わりに先生へ電話をかけた。
この一本の電話をかけるのに
10分ほどかかった……。
何を言われるか…からの緊張だった……。


「はい。」
先生が電話に出る。



(私)
「今日なのですが、体調が悪く少し前に
嘔吐をしてしまいまして……すみませんが
今日は、お休みさせていただきたいのですが」
と、伝えた。


(先生)
「本当に体調が悪いんですか?
何で本人に連絡をさせてこないんですか?
僕、お願いしましたよね?」
(落ち着いた口調だけど不機嫌口調)
(自分でも日々の練習で厳しくしているのを
分かっているから「本当に体調が悪いのか?」
疑ったのだろう。エースの彼の時も同じだった)


(私)
「はい……。すみません……。
 嘔吐をしてしまい
 今、ぐったりしてしまっていて……」


(先生)
「もう、いいです!
保護者が僕のお願いを
聞いてもらえないなら
もう、明日からの練習、
僕は指導しませんので!
他の先生に見てもらってくたさい!」
と、怒り口調で
ガチャっと電話を切られてしまった。
何だか、親の私でも怖く感じた……。
と同時に、明日の息子が
心配になった。
いつも、こんな感じで言われてるんだと
息子の辛さを痛感した瞬間だった。


ぐったりしながらも
先生との会話を気にしている
息子が
「先生、何だって?」

(私)
「本人に連絡をさせなかった
お母さんが悪かったから…。
本人が連絡してこないから
明日からもう、見ないって……。」


(息子)
「終わった……。」
と、息子は青ざめた顔で言った。



このままで明日、練習に行ったら
息子がまた、凄い剣幕で先生に
怒られてしまう……。
私は息子に言った。
「明日、お母さんと一緒に先生に
 謝りにいこう…。
 もう、今日はゆっくり休んで
 いいからね…。」と。


息子は、
何も言わず
静かに目を閉じた。


そんな息子を見て思った。
すごく
ものすごく疲れて
気持ちが我慢できなかったんだね。


息子を見ていて
涙が自然と出てきた……。

今日まで、よく頑張ったね。



翌日、
息子は学校に行けなかった。
昨日の事、今日の練習はどうなるのか
気になって不安でたまらなかったのだ…。
また、体調不良で休ませる訳には
いかない気持ちもあり、学校は休み
習い事までの時間、気持ちを落ち着かせる
時間にした。しかし、息子は、ほとんどの時間を
習い事の練習時間として使っていた。
1日休んだ遅れを取り戻すかのように…。



その日の夕方、
私と息子は練習前に
先生に謝罪をしに行った。
謝罪なしに練習を始めたら
今までも何人もが怒られていたのを
見てきたから……。
息子も、その状況をよく把握していた。


(息子)
「昨日は、体調が悪くなってしまって
休んですみませんでした。今日からまた
全国大会に向けて頑張るので、先生に
ご指導をしてもらいたいです。」
と、震える声で言った。



(先生)
「お前は、大人になって働くように
なってからも、お母さんに休む時、
頼むのか?自分の事は、
自己責任として、ちゃんと自分で
連絡をするように言ったよな?
大会ももう近いから、ちゃんと体調管理を
するように」
と言われた。



私はこの時思った。



先生は、事前に分かっていながらも
自分が休む時に1度も子供たちに
「先生、明日用事があっていないから」
と、伝えてくれた事がなかった。



まずは、
自分を見直してもらいたいと思った……。




先生への謝罪を終え
練習場所に向かう息子は私に言った。


(息子)
「お母さん、心配しなくて
いいからね。先生は、僕のために
本当に一生懸命になってくださって
僕は、感謝しているから。
だから、先生の事を悪く思わないでね。
また、今日から頑張るから。
目標を叶えるためには、やるしかないから。
じゃぁね。」と気持ちを入れ直すように言って
練習場所へ入っていった……。


何だか誇らしく感じながらも
とてつもなく切なく感じた……。


コロナの制限により
毎日の練習が見れない私は
息子がどんな練習をしていて、
また、先生に怒鳴られていないか
心配でたまらなかった。


いかにも、息子の様子が
日に日に
おかしいように感じていたから……。
家にいても、練習に向かう
車内の様子と同様、
余分な恐怖心、不安に襲われないように
ずっとひたすら、YouTubeを
笑うわけでもなく
見入っているわけでもなく
ただただ一点を見て
本当の無心の状態でいつの間にか
家での時間も過ごすようになっていた。



笑顔すら見せなくなってしまっていた。



しかし、
息子は、何も言って来ず……。
私は、とりあえず息子が弱音を吐いてきた時に
ちゃんと話を聞いてあげようと
心の準備だけはしておこうと思った。




真面目で自分を追い込んでしまう息子は、
この後にある全国大会そして、
6年生になり1番チャンスが来る
学年だからこそ全国優勝を目指して
更に練習が強化されていった。


頑張れば手の届く地位に
息子はいたからこそ
先生にも熱が入っていった……。


そして息子は、
弱音を吐かず死にものぐるいで
練習に取り組む自分だから
先生が自分を好きでいてくれているのを
感じ取っていたから、
自分を追い込み
中途半端はできなかった。



自分の目標のためでもあり
先生から見捨てられないためでもあった……。



この先、息子は
だんだんと自分を責めるように
なってしまった……。



つづく