ビバンセについて 4つのADHD薬② | 大人と子ども こころの専門医ブログ〜名駅さこうメンタルクリニック

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日々の診療など徒然にブログを書きます。
ゆっくりお付き合いください。

ADHDの内服薬について以下の4つがあります。

 

○コンサータ(メチルフェニデート):中枢神経刺激薬。不注意、多動・衝動性の全ての症状に効果が期待され、インチュニブ、ストラテラに比較すると、服用後すぐに効き、効果も強いです。効果はおよそ12時間弱

 

○インチュニブ(グアンファシン):α2Aアドレナリン受容体作動薬、非中枢刺激薬。多動と衝動性と感情に対する効果が期待できる。24時間効果をもつ。

 

○ストラテラ(アトモキセチン):選択的ノルアドレナリン再取込阻害薬、非中枢性刺激薬。不注意、多動、衝動性の全ての症状を24時間、マイルドに改善します。

 

○ビバンセ(リスデキサンフェタミン):中枢神経刺激薬。6〜17歳の小児のみ承認。不注意、多動・衝動性の全ての症状に効果が期待され、基本的に他の3剤よりも強いと考えられています。他の治療薬で効果が不十分であった場合の選択肢となります。

 

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ビバンセについて、診療における個人的な感想などは以下のブログ下矢印に記載したため、一般的な説明を今回は記載します。

 

 

 

 

 
 
 ビバンセは、6~18歳の小児のみを対象に2019年12月より販売が開始されました。コンサータと同じ中枢神経刺激薬であるため、同様に流通規制があります。また、ビバンセは体内で「d-アンフェタミン」に変わることから、覚せい剤取締法による規制も加わっています。
 
 また、日本では、添付文書にて「他のADHD治療薬が効果不十分な場合にのみ使用」と説明されており、他のADHD薬3剤に比較すると非常に手が出しにくい印象を持たれている方が多いのではないでしょうか。
 
 しかし、不注意・多動・衝動性への治療効果は明確であり(コンサータよりも基本的に効果は強く長いと考えられている)、そのため、欧米ではADHD薬の第一選択として捉えられています。

 

 ビバンセは、コンサータの作用機序と似て、脳神経のシナプス間における神経伝達物質ドーパミンとノルアドレナリンの作用を高めることで、不注意・多動・衝動性に効果を持ちます。

 

 副作用もコンサータと同様です。

 起こりやすい副作用は、食欲減退 、吐き気、体重減少、入眠困難,頭痛 など

 頻度は低いが重篤な副作用は、アナフィラキシーショック、心血管系障害、不整脈など

 

 

 やはりみなさんが気にされることは、依存性や乱用のリスクではないでしょうか。

 その点は、プロドラッグであることが安全性を高めます。

 

 プロドラッグにて体内で代謝され、初めて薬効があるため、血液中で急激に濃度が上がらず長時間効果が続きます。

 血中濃度が急激に上がらないことは、多幸感・快感を得ることは至らず、依存性・乱用のリスクを下げます。

 しかしなにより、依存性・乱用のリスクに大事なことは、医師と患者さんや家族が話し合う中で適切な用法・用量を守ってビバンセを服用することです。