今は亡き占星家、ルネ・ヴァン・ダール・ワタナベ先生の著書に「天王星占星術」(集英社・1979年)というものがあります。内容はT天王星:N天王星のアスペクトの時期を軸に各天体とのコンタクト(合)を含めて未来を判断しようとするもの。現実には普通にPを出して見ることのほうがずっと適切ですが、天王星に的を絞ったルネ先生の趣向であり、労作です。

 

少し気になったのは「天王星が〇〇座にある世代」の説明です。ここの表記はあまり適切なものではありません。そこで天王星について少し考えてみました。

 

天王星は、独自性、発明性、革新の星であり、マンディーンでは地震の星です。パートナーシップでは離婚の星でもあります。

 

世界的出来事の視点で見ると、第一次世界大戦が始まったときT天王星は水瓶座、第二次世界大戦が始まったときは牡牛座でした。そこから80年たった2019年12月、中国でコロナが発生したときT天王星は再び牡牛座でした。この事実は、天王星は定着サイン(牡牛座、獅子座、蠍座、水瓶座)にあるとき最も激しい意味を発揮することを意味しているようです。

 

個人のチャートで天王星のサイン(星座)から何事かを言うことは簡単なことではありません。天王星の周期は84年ですから約7年天王星は同じサインにあります。この「7年間の世代」の特色を指摘することは難しい技です。ただ、占星術は象徴のサイエンスですから象徴的な概念として言えることはあるのです。

 

ヒトラーの天王星は天秤座でした。

 

実現を見ることはできませんでしたが、月への到達・アポロ計画を立てた米大統領・ケネディの天王星は水瓶座です。

 

公民権運動を率いたキング牧師の天王星は牡羊座です。

 

私の師、門馬寛明と石川源晃先生の天王星は魚座です。

 

こうして見てみると、天王星の革新(ときに異常性)がどういった分野で発揮されるか、一定の感触を得ることができます。

 

私の天王星は蟹座です。天王星の蟹座についてルネ先生は「家庭的な安定を求める」と記していますが、これは誤植でしょう。現実には天王星蟹座の多くの方も家庭的な安定を求めるはずですが、理屈の上では地震の星である天王星が家庭の象徴である蟹座にあって「安定を求める」は論理的な矛盾です。

 

どの惑星も同じですが、惑星は星座よりもハウスが重要です

 

私の天王星は6Hにあり、雇用や就業の在り方に個人色がありました。社員旅行には決して参加しませんでした。楽しくもない旅行になぜ参加しなくてはならないのか全く納得できなかったのです。「参加は個人の自由ですよね?」という態度だったのです。これには太陽(牡羊座)□天王星もあったようですが。

 

惑星はアングルハウス(1H、4H、7H、10H)にあるとき、良くも悪くもより優勢に機能するのが原則ですが、どのハウスにあっても天王星は独自性をよく示唆するものです。ただ、天王星が、ASC、MC、太陽、月、水星、金星とハードアスペクトを作っていても「それ自体」に悪い意味はあまりありません。たんに「独自性の表示」です。天王星は「妥協しない星」ですが、「妥協しない強さを持つ」意味もあるのです。

 

天王星が7Hにあると離婚の表示とされます。私の元妻も7Hでした。しかしそれはたんに可能性の表示です。天王星が7Hでなくても離婚している方は無数にいるのですから。私のかつての知人に7Hに良い表示とハードな表示の両方を持つ女性がいました。その女性は男性星座の強い方で「いつでも別れてあげるわよ」と夫に言っていましたが、(少なくとも外観では)仲良く喫茶店を経営していました。夫婦の在り方はいろいろですね。

 

皆さんのNの天王星はどの分野(ハウス)で個人色を主張してるでしょうか。サインを少し考慮して考えてみてください。