動画を購入くださった方はその中で私が聞き手の横山様から「アスペクトが難しいとよく聞く」と尋ねられたことに十分に答えてはいないことに気づかれていると思います。その問いは私にとって想定外でした。
アスペクトが難しいとしたら、それは正しい見立てをそこから得ようとするからだと思います。感受点は通常複数のアスペクトを持っていますし、ハーフサムの軸にもなっています。つまり、感受点は複数の意味を持っている。複数の意味を持っている2つの感受点のアスペクトの解釈が簡単なはずはありません。ましてそこには感受点の性質によって作られるコンビネーションの意味という大原則があります。
N(ネイタル・出生図)におけるアスペクトの意味は基本的に生涯をかけて確認していくべきものです。
例えば、私のN月とN火星の0度04差のセスキコードレート(135度)の意味を私がほぼ全体像として把握できたのは60才を越えてからでした。一方でN太陽とN天王星のスクエアについては早くから理解していました。このように、わかりやすいものもあれば、全体の把握に数十年かかるものもあるのです。
数十年かかることは難しさでもありますが、私にとってそれ以上に興味深さです。数十年かけて確認していける。素晴らしいことだと思います。人生を歩きながら確認していけるのですから。
私のかつての恋人・B子はN太陽とN月が4度差のオポジション(180度)でした。180度は古くから「不調座・ハードアスペクト」です。太陽と月の180度は性質の違いからくる衝突の形です。しかし、私はB子から性質の矛盾を感じたことがありません。
太陽と月の90度や180度を「ハードアスペクト」と言うことは適切とは思えません。重要な点は太陽と月の角度ではなく、その中間点に他の感受点があるかどうか、ハーフサムの視点です。B子には金星(間接)がありました。B子は我儘な私に数えきれないほどの妥協と親和の情を示してくれました。
ただ、私のN太陽はB子の太陽と月に対してほぼ正確にT角でした。教科書的にいえば大不調和です。しかし私たちの交際は20年近く続いたのです。太陽/土星(工藤)=天王星(B子)が私たちが結婚しない占星術上の表示でした。ハーフサムに表示があったのです。
このように複雑な人とその人生を「そのまま」表示してくれるのですから占星術は素晴らしいのです。「難しい」のではなく「とても興味深い」のです。
了