私は2017年9月28日の配信「コンポジットはどこまで語るか」で主に「コンポジットの金星と親和性」についての事例を挙げました。二人の人間の関係を見る上でコンポジットは欠かせないツールです。今日は当時書かなかった技術的問題も含めて改めてコンポジットについて書いてみました。少し長い記事になります。

 

まず技術的なことについて。

 

コンポジットチャートは「一人のネイタル」と「一人のネイタル」の合成図。三人以上のコンポも可能とされていますが、私は検証していません。「一人のネイタル」と「その人間の居住地における特定の日のチャート」の合成図がDCチャートです。DCチャートも「コンポジットチャート」ではあるわけです。

 

コンポジットの位置は両者の同じ感受点の近いほうの中間点(ミド・ポイント)、ハーフサムでいう直接点をとりますが、これは水星と金星については例外があります。

 

Aさんの太陽が山羊座0度、Bさんの太陽が双子座0度なら太陽のミドポイントは魚座15度になりますが、同時にAさんの金星が射手座0度、Bさんの金星が蟹座0度なら金星のミドポイントは乙女座15度になります。しかし、太陽が魚座で金星が乙女座というチャートは存在しません。「アメリカ占星学教科書・第2巻」でマーチ、マクエバーは「ネイタルチャートと同様にコンポジットチャートでも太陽は水星とは28度以内、金星とは46度以内でなくてはならない」と記しています。この書は約四半世紀前の著述なので当時はそんなレベルのソフトもあったのでしょう。今ではそうした不適切なソフトはないと思われます(他のソフトを知りませんので正確にはわかりませんが)。この例でいえば、金星は「計算値の反対側」である魚座15度、つまり太陽と正確な合として表記されているはずです。

 

もうひとつの技術的な問題は、クライアントの方から寄せられた問題です。その方の出すコンポジットと私が出したコンポジットではASCが正反対の星座になるのでした。これは「基準」の問題です。

 

私が使用するソフトの基準はMCです。まず「MCのミドポイント」を特定し、それを基準に各ハウスの星座を並べていく方法で、これは石川源晃先生もそうですし、マーチ、マクエバーも同様です。ところがクライアントの方が使用しているソフトではASCを基準にしているらしいのです。選択(オプション)の問題なのかもしれませんが。

 

皆さんが使用しているソフトがMC基準かASC基準かはすぐにチェックできます。以下の2つのチャートを作りコンポジットしてみてください。ASCが4水瓶座20であれば「MC基準」、4獅子座20であれば「ASC基準」です。

 

① 2022年1月1日、1時00分、東京

② 2022年7月2日、1時00分、東京

 

ちなみに、単純にミドポイントをとると、ASCは4獅子座20、MCは27天秤座41になりますが、ASCが獅子座でMCが天秤座というチャートはあり得ません。

 

それでは次に具体的な判断について考えてみます。

 

上記マーチ、マクエバーの「第2巻」ー相性占星学のすべてーでは当然ですが各ハウスの意味についても書かれています。最も重要なのは「ASCのサイン」と「ASCルーラーの位置」と記されています。けれど私と女性たちとのあいだで作ったコンポのASC星座では評価ができません。

 

恋人A子とのコンポASCは蠍座。この蠍座の意味があまりハッキリしないのです。関係が長く続いたこと、あるいは性的関係が基調であったことなどを指しているのでしょうか。蠍座のイメージである「寡黙」は私たちにはありませんでした。

 

恋人B子とのコンポASCは射手座。これもハッキリしません。

 

また、7ハウスを「外との関係性、他人が二人をどう見ているかが表される」としています。7Hカスプが蟹座なら「家族を大切にしているというのが他人のイメージ」とあり、これは元妻とでは当たっているようにも感じますが、私と元妻は二人ともASC山羊座ですから「山羊座的なカップル、蟹座的な対外印象」と言われても困るのです。

 

私はコンポジットのASCの星座とASCルーラーの位置を最も重要なものとは見ません

 

私にとって最も重要なものはASCの「度数」であり、MCの「度数」なのです。

 

もちろん星座は見ますが、コンポジットチャートのASCの星座は参照ほどのものです。コンポジットのASCはその度数がどこのどの感受点と「結合」しているかを見ることが絶対的に重要なのです。こうした認識はハーフサムがあってこそ可能になったと私は考えています。

 

また一般的に、コンポジットはネイタルチャートほど各所の意味を入念に考える必要はないと感じています。コンポジットチャートは、DCチャートも同じですが、「ある特定の主旨を伝えるための特別なチャート」だと思うのです。「その主旨」以外の表示は”備考”にすぎないと考えています(でなくては昭和天皇と香淳皇后のコンポにある水星~火星~天王星の正確なT角の説明がつきません)。

 

マーチ、マクエバーの書にあるような説明はとても心理的で評価が難しいのです。たとえば、私とA子、私とB子のコンポには「1Hに土星、7Hに火星」という共通点がありますが、この共通点の意味を理解することは今もってできていません。いろいろ「考えること」はできますが結論は出せないままです。

 

私がコンポジットで重要だと感じるのは

 

① 正確(1度未満)なアスペクト

 

② 正確な=(ハーフサム)

 

この2点に尽きます。

 

私とA子ではASC△金星(0度00差)、B子とはASC=月/金星(0度20差・直接))、元妻とは月△金星(0度11差)でした。

 

元妻とのコンポの月は7Hルーラーで何の問題もなく結婚へ進みましたす。また、ASC=金星/セレス(0度02)があり「子供ができる」表示です。結婚して子供ができるのは自然ですが、このように極めて厳正に表示されているのにはそれなりの理由があると思うのです。私たちの結婚には「子供をつくる」という無意識の強い願望があったようです。

 

コンポジットにおける「金星」は親和性判断に欠かせない天体です。ただ、昭和天皇と香淳皇后の ASC「合」木星(0度11差) といった例もあります。定義的にいうなら親愛の情(金星)というより信頼(木星)による結びつきであり、これがご夫妻の「コンポの主旨」なのです。

 

結婚はNにおいてもそうですがコンポジットにおいてもMCと10Hが重要です。私とA子のコンポMCは□土星で=火星/冥王星。7Hルーラー金星△ASC真正で「仲のよい恋人」でしたが社会性(結婚)は作らなかったのです。

 

なお、マーチ、マクエバーはアスペクトについて以下のように述べています。

 

「コンポジットチャート中のアスペクトはエネルギーのパターンを示す。したがって惑星の特殊な配置は、ネイタルチャートの場合よりもコンポジットの中で特に重要になってくる。そのため、必要と感じた場合は迷わずオーブを広げてよい」

 

ここでいう特殊な配置がどういった配置を指すのか、どこまで広げるのか。広げるというからには時には△も15度くらいまで広げるのでしょうか。特殊な場合としていますが、私はアスペクトのオーブを広げることには原則として常に懐疑的です(私は一般的なオーブを使用しています。セクスタイルなら6度未満、トラインなら8度未満といった具合に。ただし、プログレスやトランジットの形成は原則として常に1度未満です。3度以上も離れていてトランジット形成があるといった指摘を見ることがありますがとても不適切と感じています)。

 

オーブを広げてする解釈のほとんどが心理的で、「判定」が困難です。近年の心理占星術の価値は認めますが「そうも感じられる」といった”曖昧な領域”はできるだけ避けたいと感じているのです(ハッキリいって個人的に嫌いなんですね 笑)。

 

コンポジットの時期表示について石川源晃先生は「辞典」で以下の紹介をしています。

 

1974年、最初にコンポジットを紹介した英文書の中で著者がルーズベルト大統領夫妻のコンポジットの太陽□火星に対してT火星がT角を作った時ルーズベルトが死去したと表示していたとのこと。

 

これには驚きです。T火星のような比較的軽い、したがって進行も速い天体のトランジットを表示として記すとは。火星で説明できるなら、他の外惑星でも説明できるでしょうから、極端な話し「いつ亡くなってもほとんど説明できる」ことになるでしょう。それでは全く予見できませんし、事後説明ができるとしても占星術の時期表示の価値はないも同然になります。

 

私はまだコンポジットの時期指定を検証していませんが、コンポの時期表示はTなら外惑星で、また、コンポジットの位置を進行させることが方法になると考えています。

 

最後に。

 

私がA子と出会ったのは1990年9月、A子が亡くなったのが2019年11月、29年間の関係でした。この29年間がどうコンポに表示されているかチェックしてみました。コンポのASC、MC,、全惑星を29度進めても特にハードは見当たりません。ただ、コンポの「5Hカスプ」を29度進めると12Hの海王星に衝。Tでは、T天王星□コンポ天王星はありましたがコンポ天王星は9Hカスプですから「別れ」の意味としてはどうでしょう。このへんは人によってさまざまであるように思われます。