今月22日、日本時間03時21分、T木星とT土星は「00水瓶座29」で「合」します。

 

いわゆる「グレート・コンジャンクション」です。この合のタイミングによって作るチャートは「次のグレート・コンジャンクション」までの期間の「何事か」を暗示します。この場合「木星と土星の合」の”根源的意味”を考える方も多いでしょう。しかし、それはなかなか立証の難しい観念的な領域でもあります。

 

このチャート、なかなかに厳しい。示されているハードの意味があまり具体化しないことを祈るしかありません。

 

さて、現在のコロナが「山羊座での土星と冥王星の合」の具体化であることは確実ですが、前回、春分時点でT土星が山羊座だったのは1988年、89年、90年の3年間です。この3年間に何があったかといえば、日本では昭和天皇の崩御(89年1月)がありましたが、なんと「バブル景気(86年12月~91年2月)でもあり、89年12月には日経平均株価が史上最高値を記録しました。「山羊座らしくない状況」であり、このことは、T土星のサイン(星座)だけでは何も言えないことを意味しています。前回と今回の違い、それはひとえに土星が「冥王星と合した」という点にあります。

 

T土星のサインだけでは何も言えないと申し上げましたが、実はそれは正確ではありません。

 

個人のチャートにおける「土星のサイン」には「ある特質」が示唆されているように思われるのです。そのことを感じさせてくれたのは犯罪ジャーナリストの黒木昭雄さんでした(1957年12月19日生まれ)。元警察官だった黒木さんの活動を記憶なさっている方もいらっしゃるでしょう。

 

黒木さんは警察の問題点を指摘し、後年は「栃木17才少女殺害事件」に心血を注ぎましたが2010年11月2日自殺しているところを発見されました。活動に行きづまったことが原因ともされていますが「借金が多くなった、家を売らなくてはならない」などの弱気な言葉があったといいます。私は黒木さんの自殺の直接の原因は経済的困窮にあったと見ています。

 

星を出してみると射手座に太陽と土星があります。これが黒木さんの「理想を目指して疾走する(射手座の)姿」を象徴的に示しているように感じます。しかし、射手座の弱点はおそらく「物質的現実に対する油断(無頓着)」にあります。「なんとかなるさ」であると思われるのです。

 

私は、Nにおける土星のサインは「真摯さの特質」と「弱点」の両方を示している と感じます。

 

その特質と弱点を端的に表現すれば以下のようになるでしょうか。

 

牡羊座 自己集中力 自己意識の過剰

牡牛座 物質的安全の獲得 安全への固執

双子座 知識への傾斜 焦点の拡散

蟹座 保護保育の力 愛の執着

獅子座 表現と力の獲得 表現の拙(まず)さ

乙女座 義務の履行 ルールへの固執

天秤座 調和への志向 人間関係における固さ

蠍座 一貫性と心情の深さ 感情の沈殿

射手座 理想への疾走 安全の軽視

山羊座 実績の蓄積 自己固執

水瓶座 理念の理想化 無情(クールさ)

魚座 人間性の追求 論理性の脆弱

 

もちろんこれらは「サインの特質」でもありますから他の感受点にも共通するものです。ただし、太陽や月、あるいはASCのサインは弱点といってもそのサインの長所の裏返しであり、太陽、月、ASC自体に「弱点」の意味はありません。その点、土星には明らかに克服すべき課題の意味が内在しています。ここに書かれている「弱点」を時間をかけて(=土星・クロノス)修正していくことで「真の特質」へと進化していくのではないか。それが「土星が私たちに課しているもの」ではないか。そのようにも感じるのです。

 

こうした考え方はおそらく、トランスサタニアン、天王星、海王星、冥王星には適用されません。これらは古典のいう「見えない惑星」であり、「その位置」は重要ですがサインの意味はほとんどユングのいう「無意識下」のものであるように思われます。