私は判断に「小惑星」を使用することはありませんでした。それは「信頼していないから」ではなく、たんに「確認していないから」であり、「使用しなくても問題はないと考えてきたから」です。


しかし、チェックすることに一定の価値があると考えるようになってきています。小惑星を使用している研究者からは「何をいまさら」と言われかねません。その意味では、研究者として「怠慢」であったと言う他はありません。


小惑星には、セレス、パラス、ジュノー、ベスタ、そして、キロンなどがあります。


私がこの中で「効果」を確認したのはジュノーとセレスです。



「セレス(Ceres)」は1801年発見され、母性的で献身的な行為を表すとされます(石川源晃「占星学実習52P)。



セレスが自分の5Hにあると知った時、私は「おやっ?」と思いました。以前から「こんなに子供を愛しているのに、なぜ5Hがからっぽで、ルーラーにもあまり愛情が示されてないの?」と不満だったのです。で、少し合点 (笑)。



マリリン・モンローのセレスは1Hにあり、7Hの木星と「衝」(誤差1度24)。その人生は、多くの男性に「献身」したと言えなくもありません。


「三重苦」ヘレン・ケラーは世界中で講演し、その人生は書籍や映画になり無数の人々に影響を与えましたが、MC「合」セレス(誤差0度16!)です。


また、大英帝国のビクトリア女王は、ASC「合」セレス(誤差0度02!)。彼女は時に強硬な政策を支持しましたが、世界中の植民地民から「大英帝国の母」という一種の親しみのイメージを持たれていて、これが「統治」の大きな力になっていたようです。




どうやら、セレスは「献身」、また、「母のようなイメージ」に関係するようです。




それでは次に、ジュノーを見てみましょう。


「ジュノー(Juno)」は1804年に発見され、権利を表すとされます(同上、53P)。


石川先生はジュノーについて、「日本では結婚後にトラブルが発生する可能性を表示するので、なるべく出生図で力を持たないほうが結婚の幸福を示す」と書き(「辞典」94P)、「演習」168Pで、エリザベス・テイラーのチャートでジュノーがカルミネート(10Hで最もMCに近い)していることが、離婚をくり返す原因の1つだと指摘しています。


これは1つの概念でしょう。ただし、多くの検証が必要です。



故・ダイアナ妃は4Hにジュノーがあります。「家庭の中で権利を主張した」ということになるのでしょうか。ただし、ジュノーはASCと8度20差の□ですが、他の天体とのハードはありません。この点の意味は難しいところです。




私がジュノーに注目したのは、世界的に著名な「権利の主張者」であった以下の4名が、すべて、ジュノーがアングルハウスにあることを確認したときでした。




インド独立の「権利」を主張した、ガンジー  4H


チベットの「権利」を主張した、ダライラマ14世  7H


黒人の「権利」を主張した、キング牧師  7H


ベトナムの「権利」を主張した、ホーチミン  7H



アスペクトを見るとさらに興味深い。



ガンジーのジュノーは、MCに0度24差で「衝」。これは、「権力(MC)=英国」に対する権利の主張。


ダライラマ14世のジュノーは、1Hの火星と1度05差で「衝」。


キング牧師のジュノーは、11Hの月に0度18差で△。これは「希望と連帯=11H」のイメージでしょうか。


ホーチミンのジュノーは、1Hの冥王星と0度46差で「衝」。アメリカの暴力(冥王星)に対抗する権利の主張だったのでしょう。



――― いずれも、非常にタイトなアスペクトが形成されています。



ちなみに、上記4名のセレス、パラス、ベスタて「全てがアングルハウス」にあるものはありませんでした。科学、占星術に関係するとされるキロンにいたっては、全員がキャデントハウス(3、6、9、12H)でした。



また、日本に原爆を投下したトルーマン大統領も10Hにジュノーです。ただ、このジュノーが木星と「合」(誤差0度41)であることが悩ましい。日本を壊滅させることを「米国の権利」と考えていたフシがありますが、木星「合」とは何でしょう? まさか、それが「善」と考えていた? まさか! 


この問題はとても深い課題です。



変わったところでは、米国の偉大なボクサー、モハメド・アリ。


彼は招集されたとき「俺はベトナムには何の恨みもない」と軍に入ることを拒否し、強制労働に服しました。彼のボクサーとしての成功も「黒人の権利向上」の一貫だったのでしょう。ジュノーが4Hにあり、MCと土星(10H)の中間点に=し、ジュノー=MC/土星です。



どうやら、ジュノーは「権利の主張」に関係するようです。



アングル以外のハウスはどうなのでしょう?



私などはジュノーが3Hカスプにあって「衝」土星・海王星です。石川先生の著書では「ジュノーと土星のハード」は「我慢が限界にくると大爆発をしますので、我慢との戦いになります」とありますが、ハッキリ言って当たっていません。自慢にはなりませんがこの60年間、大爆発したことは1度もありません。


本に書いてあることは定義的概念ですから、文字どおり受け取ることはできません。なぜそう書かれているのか、ということを考えてみることが大切です。


私の場合、3Hですから「精神的な権利の主張」という定義になるでしょうか。ASCルーラー土星と「衝」ですから「とても強い」ということになり、何となく当たっているようです。しかし、「精神的な権利の主張」という言葉は抽象的ではありますね。




以上、感じるままに書いてみました。



皆さんのセレスとジュノーの解釈のヒントになれば幸いです。