日本語教師や、日本語教師目指して勉強中の方々の中で、「見たことも聞いたこともない。全く知らない」と言う人はいないのではと思われる、日本語の教科書。
それは、

『みんなの日本語』

略して「みん日」。
「Ⅰ」「Ⅱ」それぞれ、「赤本」「青本」という愛称もありますね。
どれだけ愛されているのかは別として(笑)、みん日を使用している日本語教育機関、日本語教師は今も多いと思います。

 

 


現在、売られているこちらは、2012年に初版第1刷が発行された、2代目(第2版)です。


初代「みん日」は、こちら。
こちらの初代をお持ちの方、授業で使われたことのある方は、たくさんいらっしゃるのではと思います。


 


初代みん日は、1998年に初版第1刷が発行され、長年、国内外の日本語教育界で使用されてきました。
でも、月日が経つとともに、語彙や例文などが時代に合わなくなってきたため、それを改良したのが、現在の2代目です。

ところで、お気づきでしょうか。


 


そうです、CDではありません。テープです(笑)
私が持っているこれは、2000年発行の第6刷です。

このテープとは、各課の新出語彙、文型、会話、聞き取り等が収録されたカセットテープです。
25課分をテープにすると、複数本に分かれ、教科書に直接添付はできないため、そのセットが箱に入って、別売りされていました。
この時代、まだカセットテープだったのですねえ爆  笑
実際、初代みん日の教科書の語彙や例文にも、「カセットテープ」が出てきます(笑)

でもこの後、何刷目かはわかりませんが、めでたくCDに変わりました。


そして、この「みん日」には、元になった教科書があります。
それは、

『新日本語の基礎』

略して「新基礎」。
こちらをお持ちの方、授業で使われたことのある方は、いらっしゃるでしょうか。


 


新基礎は、1990年に初版第1刷が発行されました。

初級日本語の文型積み上げ式の教科書として体裁が整い、各国語の訳本等も揃っていたため、国内外の日本語教育現場で広く使用されていました。
わりと近年まで(たぶん、2代目みん日ができる頃まで?)、本屋の日本語教育コーナーでは、新基礎とその関連の副本が棚を占めていました。
今では実店舗では見かけませんが、アマゾンなどのネット通販や、出版社に注文すれば購入できます。

でも、新基礎は技術研修生向けの教科書のため、語彙や例文もそれ関連のものが多い。
例えば、「スパナ」「実習」「研修センター」など。

そして、1980年代から製作着手されたため、語彙が古い。
例えば、「パソコン」は無く、あるのは「コンピューター」「ワープロ」「タイプ」笑い泣き
「電話」のイラストは黒電話電話

そのため、一般にも使いやすいよう、時代に合うように改良し、姉妹版として作られたのが「みん日」です。

改良されたのは、語彙、例文、登場人物、イラスト。
教科書全体の構成、各課の構成、各課の新出文型などは、新基礎とみん日は全く同じです。


さらに、新基礎の元になったのは、『日本語の基礎』
こちらは、1970年代の初版で、私も持っていないため、写真無しです。
でも当時の職場にはあったので、見たことはあります。
見たことある方、お持ちの方、いらっしゃいますか…?


さらに、その元になったのが『実用日本語会話』
さらに、その元になったのが『Practical Japanese Conversation』
これらは1960年代の初版。
もはや骨董品です(笑)


このように、元にあった教科書を何度も改良し、積み重ねていって、出来上がったのが、赤本・青本と呼ばれている現在の「みんなの日本語」なわけです。
誕生までには、1960年代からの長い歴史があるのですねキラキラ


余談ですが、私の日本語教師デビューは1998年。
つまり、初代みん日の誕生と同じ年。
つまり、私とみん日は、日本語教育界での同級生です(笑)

当時、先輩の教師と、

「みんなの日本語、っていう、新しい一般向けの教科書ができたのよ」
「へ~」

というやり取りをしたことは、覚えています。
(その頃、スパルタ訓練中だった私は、新しい教科書なんぞ気にしている余裕はなかった…)

なので、みん日が、あれからずっと日本語教育界で使用され続けているのを見ると、昔の同級生が長年活躍しているような気分になり、「頑張ってきたんだなあ。私も頑張ろう」と思えてきますスター