栄養素の働きから考える更年期対策 | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

 

●社会問題となっている「更年期離職」
 

更年期に現れる不調が原因で退職せざるを得なくなる「更年期離職」は、40~50代の男女合わせて約57万人にのぼると見られています。
国は今年度から初めて実数調査を行うとしており、社会全体でのサポートが必要なこととして、受け止められるようになってきています。
 

更年期の不調は、加齢による変化だけではなく、社会的なストレスや過労、栄養不足、酸化ストレスなどが影響していることが予想されます。

そのため、体本来の機能が十分に発揮できるように対策していくことが大切です。

 

●ビタミンEとホルモン                    
 

更年期の不定愁訴には、頭痛、肩こり、冷え、不眠などがありますが、これらの原因は、ホルモンのアンバランスにあります。


ビタミンEは総ての内分泌器官に蓄積されており、ビタミンEが欠乏すると、精巣・卵巣・副腎などが萎縮、あるいは変性することが知られています。


また、ビタミンEは、脳下垂体、副腎皮質、卵巣などのホルモン分泌を正常化する作用があることが分かっています。


ビタミンEの血中濃度を追跡してみると、特に低い時期が3回(新生児期、思春期、更年期)あることが分かっています。

この時期は、ホルモンバランスの新秩序を作らなければならないため、ホルモンの大量生産が必要となり、ビタミンEの大量消費を招くと考えられています。

 

この要求量が満たされない状況が続くと、更年期障害といわれる様々な不定愁訴の発現につながり易くなります。

 

●ホルモンの基礎知識
 

ホルモンは、体内の全ての細胞へのメッセージとなります。

微量で有効な化学物質で、血液の流れに乗って届けられます。

代謝・生殖・成長・老化・免疫など色々な機能を制御、調整しており、恒常性(ホメオスタシス)の維持が目的です。


ホルモンが選択的に作用する相手の細胞を標的細胞といいます。 標的細胞は、細胞膜あるいは細胞質内や核にそのホルモンと結合する受容体 (レセプター)を備えています。
 
●閉経後はやせすぎに注意
 

更年期を過ぎると、女性ホルモンを作っている卵巣が萎縮し、その代わりに副腎皮質で作られた男性ホルモンが女性ホルモンに変わるようになります。


その作業は、脂肪組織で女性ホルモンに変わる経路により補われますが、その働きには、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンCが必要とされます。


また、脂肪組織が少ないと男性ホルモンが女性ホルモンに変わらない状態となってしまうため、更年期以降の女性は、過度なダイエットは避け、あまりやせ過ぎないことも大事です。

 


 

●高タンパク食が全ての土台
 

ビタミンEが体内で、その役割を果たすためには、十分な良質タンパクが必要です。これはすべてのビタミンについてもいえることです。
体の機能を維持するために1日に必要な良質タンパクの量は、体重1kgあたり1gです。

ホルモンの分泌をサポートするには、ホルモン分泌を司る脳やホルモンを合成・分泌する器官の機能を維持すること、そしてホルモン合成に必要な材料(栄養素)を揃えることが必要です。
中でも、ビタミンE、亜鉛、セレンなどは、性ホルモンの合成・分泌・調整に欠かすことのできない栄養素です。

更年期によく見られる精神神経症状(イライラ、不安、不眠)や、血管運動神経症状(ほてり、のぼせ、発汗)などは、自律神経の影響があることから、神経サポートに必要な栄養素(良質タンパク、ビタミンB群、カルシウム、マグネシウム、レシチンなど)の摂取が必要です。

ストレスは、「自律神経を乱す」「脳の機能を低下させる」「栄養素を消耗させる」などして、更年期障害を大きく左右する要因となります。

そのため、抗ストレスホルモンの合成材料(良質タンパク、ビタミンC、ビタミンE)を十分に摂取し、いつでもストレス応答できるように備えておくことが大事です。

活性酸素は、ホルモン分泌減少の要因として挙げられています。
加齢とともに体内での活性酸素の除去能力も低下するため、外から抗酸化成分(ビタミンC、ビタミンE、セレン、植物ポリフェノール)を十分に摂取してサポートすることが大切です。

<参考書籍>