お酒との上手な付き合い方 | 分子栄養学のススメ

分子栄養学のススメ

分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

今年の夏は暑気払いなど大人数での飲み会や会食ができず、オンライン飲み会や家飲みなど自宅でお酒を飲む機会が増えた方も多いようです。

今回はお酒(アルコール)とビタミンについて考えてみたいと思います。

 

お酒を飲むと脂肪が増える?!

 

飲んだアルコールは胃や小腸上部から吸収されて門脈という太い血管に入り、主に肝臓で代謝されます。

第1段階の代謝ではアセトアルデヒドという物質ができ、これが悪酔いや二日酔いの原因になります。アセトアルデヒドを代謝する第2段階の代謝がすぐに行われれば、悪酔いや二日酔いは起こりません。

第2段階の代謝ではアセトアルデヒドから酢酸ができ、酢酸の活性型であるアセチルCoAとなり、最終的にはエネルギーと二酸化炭素と水に代謝されます。

ところが、日本人を含む東洋人はこの第2段階の代謝で働く酵素を遺伝的にもっていない人が多くいます。そのため、欧米人に比べて日本人はアルコールに弱く、飲むとすぐに赤くなってしまう人が多いのです。

日常的にお酒を飲んでいるとお酒に強くなったという人がいますが、これは薬物代謝という機能が働いたためです。酵素が不足しているため、アルコールの代謝が十分にできなくなると、本来は汚染物質や薬物などを処理するために用意されている薬物代謝がアルコールの代謝をするようになります。薬物代謝によるアルコールの代謝も酢酸ができ、最終的にはエネルギーと二酸化炭素と水に代謝されるのは同じです。

しかし、本来のアルコール代謝に加え、薬物代謝によるアルコールの代謝が行われることにより、酢酸の活性化体であるアセチルCoAがたくさんできてしまうことにより、困ったことが起きてしまいます。

 

 

 

 

 

アルコールの害

 

アルコールが人体に害をもたらすのは肝臓で代謝しきれないほどの量を飲んだ時です。

本来のアルコール代謝では代謝しきれず、薬物代謝に頼ってしまうようになると、薬物代謝系の負担が大きくなってしまいます。アルコールの代謝を請け負っても、従来の薬物代謝の働きは免除されないため、そのままにしておくとやがて変調をきたしてしまいます。

薬物代謝の過程では活性酸素スーパーオキサイドが発生します。この活性酸素が細胞膜などの不飽和脂肪酸を過酸化脂質に変え、肝細胞を攻撃すると肝臓が障害されてしまいます。アルコールを飲みすぎるとアルコール性肝障害が起こるのはこのためだと考えられています。

アルコールがダイレクトに肝障害を引き起こすのではないので、活性酸素対策をしっかりと行っていれば、アルコールそのものは決して怖いものではありません。

 

要は健康を害さないよう上手にお酒と付き合っていけばいいわけである。安全圏は“二”がキーワードだ。ビール2本、日本酒2合、水割り2杯なら毎日飲んでもかまわない。

『医学常識はウソだらけ』より

 

酒の肴はタンパク質

 

アルコール代謝の第1段階ではアルコール脱水素酵素という酵素により代謝が行われますが、補酵素としてニコチン酸が必要です。次に第2段階ではアルデヒド脱水素酵素という酵素により代謝が行われますが、こちらでも補酵素としてニコチン酸が必要となります。

そのため、アルコールを摂取するときにはニコチン酸を含んだおつまみを一緒に食べた方がアルコールを代謝するために効果的です。代表的な食材は豚肉、なまり節、豆類、チーズなどです。また、ニコチン酸はアミノ酸トリプトファンから生合成されるため、トリプトファンの多い肉類をおつまみとするのもおすすめです。トリプトファンからニコチン酸が合成される際には補酵素としてビタミンB2、ビタミンB6が必要になります。

薬物代謝が働く場合にはビタミンCやビタミンEが必要となります。また、薬物代謝では活性酸素の発生があるため、スカベンジャー※も十分摂取する必要があります。

 

※三石巌が名付けた活性酸素を取り除く物質のこと。

 

おまけ

 

三石の書籍の中に『「酒と女」の不思議な関係』という興味深い内容が書かれていますのでご紹介させていただきます。

 

女性にとってのキー物質は女性ホルモンだ。女性の本来の役割がすむとおなかが少しずつせり出してくる。これも生体の合目的性に基づく変化である。というのは、脂肪組織がホルモンの性転換の場になるからだ。

~中略~

ここで男性ホルモンが女性ホルモンに転換する。だからこそ更年期以後の女性の肥満を合目的的な現象とみたわけだ。

ホルモンの性転換はアルコールによって促進される。その量はワインをグラスに一杯でいいらしい。淑女諸君よ。どうぞお酒を。

『からだの中から健康になる長寿の秘密』より