増える関節疾患への栄養対策 | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

加齢とともに見られる身体の変化の1つに、関節の異常(変形)があります。


これは、骨の端にある軟骨や関節腔を満たしている滑液が異常を起こすことがきっかけになっています。


軟骨は、弾力性に富んでいることから、骨に掛かる衝撃を吸収してくれる、クッションのような役割を果しています。


軟骨の構造は、硬骨と同じように、コラーゲンが土台になりますが、ここにアパタイト(カルシウム、リンなどの骨が硬化する成分)ではなく、プロテオグリカン(ヒアルロン酸・コンドロイチン硫酸・ケラタン硫酸などの複合体)が隙間を埋めるように存在しています。硬骨と軟骨の違いは、ここにあります。


滑液は、粘質性に富んでいることから、骨の摩擦を軽減したり、関節の動きを滑らかにするとともに、血管のない軟骨細胞への酸素や栄養成分の供給、老廃物の排出などの役割も果たしています。関節液の成分は、グルコサミノグリカンの一種であるヒアルロン酸です。

どちらにしても、多糖体が多く存在する組織であることがわかると思います。

■グルコサミノグリカン・・・糖(二糖)が繰り返し結合した多糖体。

■プロテオグリカン・・・グルコサミノグリカンとタンパク質の複合体。

このことから、関節の異常は、プロテオグリカンの異常であり、予防していくためにはプロテオグリカンの正常な合成を促していくことが対策になります。

それにはまず、材料の確保が大事であり、上記からもタンパク質が必要であることが分かると思います。


糖は、食事から十分に摂れますので、糖質制限をしている場合以外はあえて強化してなくても大丈夫です。


タンパク質は、アミノ酸のバランスを考えて、質の良いもの(良質タンパク)を選びましょう。

特に、硫黄を含むアミノ酸(メチオニン、システイン)が必須となりますので、卵などの含硫アミノ酸を多く含む食品の摂取は非常にお勧めです。


ここで1つ鍵となるのが、ビタミンAです。

ビタミンAは、糖をつなぎ合わせる働きを担っていることから、多糖体を作っていく作業に必要不可欠な栄養素です。


また、軟骨の土台となるコラーゲン生成には、良質タンパク、ビタミンCが必要であり、ビタミンCはプロテオグリカンに傷害を与えたり、生成を阻害する“活性酸素”の除去にも働きかけてくれます。


その他、軟骨の栄養源となる滑液の循環を良くするために、栄養素の強化(ビタミンEやイチョウ緑葉エキス)、マッサージ、軽い刺激(ストレッチ、運動)などをプラスすることもお勧めです。

しかし、巷ではこのような栄養素ではなく、グルコサミンやコンドロイチン、ヒアルロン酸などを摂っている方がほとんどです。


グルコサミンは、単糖にアミノ基が結合したアミノ糖であり、ヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンの成分となります。


コンドロイチン、ヒアルロン酸は、グリコサミノグリカンの一種です。


このように、軟骨や滑液の直接的な材料なので、利用している方が多いのだと思います。


グリコサミノグリカンを摂ることは効率の良いイメージがありますが、これらの成分を口から摂取した場合、消化という作用によって分解され単糖とアミノ酸になります。

分解された成分が吸収され、血液にのって運ばれ、その一部が患部まで到達したとしても、今度はそれがまた最初のグルコサミンなどになる確率は高いとは言えないと思います。そこにビタミンAの不足や活性酸素の存在があれば、より合成は難しいものになるでしょう。


また、関節疾患によく使われるヒアルロン酸の注射については、消化作用を受けないため、分解されることなく患部へ到達し、確実性があります。しかし、一時的には滑液の助けになり症状の改善も見込めますが、自ら合成したものではないので、結局は根本的な改善にはならず、定期的に注射し続けないといけなくなります。


その点、材料を十分に摂取することは

・効率が良い

・低下していた合成能力を取り戻すことができる

・必要に応じて合成ができる

・その他の身体のケアにも繋がる

など、さまざまなメリットがあります。

身体本来の働きを維持・向上させることで、問題の部分へ対応することをメグビーではお勧めしております。





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